真白の恋のレビュー・感想・評価
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何かの映画祭で賞を取っていて、ずっと気になっていた作品。 軽度知的...
何かの映画祭で賞を取っていて、ずっと気になっていた作品。
軽度知的障害のある、ましろが東京からやって来たカメラマンの青年に恋をする物語。
全て富山で撮影されているらしい。
ロケーションが素晴らしい。日本らしいいい景色が凝縮されている。
カメラマンの青年は人間関係がうまくいかず、会社に馴染めていなかった。そんなときに富山に写真を撮りにやってくる。
偶然出会ったましろをカメラにおさめ、現像した写真を渡したところから仲良くなっていく。
そのうち、ましろは次第に恋心を抱き、親に内緒で青年に会いにいくようになる。
しばらくして家族に青年と会っていることがバレると、家族たちは青年のほうを強く責める。障害のあるましろをバカにしているのか、と。
ましろは、私が普通じゃないから怒るのか、と両親に訴える。
ましろの純粋な気持ちも、ましろの家族の心配する気持ちも分かるのでとても辛い。
悲しい気持ちにもなるが、最後は優しい気持ちになってほっこりもするそんな映画。
背景がしっかり描かれているので、どの登場人物の行動にも納得がいくし...
背景がしっかり描かれているので、どの登場人物の行動にも納得がいくし、すごく自然で普通で、とても共感できた。雪菜と油井という人物2人を通して障害とは何か、普通とは何かという事も考えさせられる。
真白の両親は登山直前まで油井の存在に全く気が付いていなかった。少ない情報で判断し油井を娘に近付けないようにする親父。東京から来たカメラマン?なんか脱がされそうだしな。
雪菜が真白の為に親父と向き合う様は映画を観ているひと全員の気持ちがのっかっているようで、熱かった。雪菜も自分の恋が上手くいかない背景がある。お泊まり計画でさえも手伝い本当に真白と普通の友達レベルで接してる。
油井が自転車を返しに来た時には、何も言えない親父。ゴメンでもない、バカヤロウでもない、ありがとうでもないし複雑。父親として娘を守っただけだから。兄ちゃんは謝ったほういいけど。誤解はあったもののカメラの中の画像を見て、家族全員がすべてを理解したようだった事に救いがあった。レン兄が真白を捜しに行く時に兄嫁がカレシというワードを出した為オラオラしだすのもわかるし、少女時代に誘拐されていたというのもある。
真白が普通だったら東京に連れてってくれた?の問いに対しては。この街に写真撮りに来ただけであり、お礼としてカメラを教えたかっただけで他意はない。一貫して普通に接していたし、仲良くなれてよかったくらいの心持ち。
油井は真白の障害のことを気付いていないみたいだなと思って観てたら、本当に気付いていなかった。
何を持って障害というのかと油井の言葉にあったけど、適応できないとか周囲との差異があると言うのなら誰だってそうだ。この映画では軽度という事もあるのだけれど、普通かどうかというのは周囲の人間が決める評価であり、周りの人のその対象人物への関わり方でしかない。
どうやったら普通の人になれるの?と母に問う。子供を守る立場の親には答えが出ない。
この子は大丈夫だと信じるしかない。
自分の気持ちを他人に伝えるのにはあまりにも言葉が少ない真白だったが初恋が去っていくのを前にして「だいじょうぶって思えるように」と言うセリフが一番泣けた。
じんわりと心をえぐられる
知的障害者と説明はしているが、単に正直で大らかな動きをする人にしか見えない。ちょっと変わってるな程度にしか見えないのに、家族は守ろうとして自由を奪ってしまう。自分の思うように生きる事を許されない真白の叫びには心をえぐられた。終盤には知的障害なんて髪の毛の有無程度の差なんだというメッセージがあって、障害があるからといって縛る理由になるのかと考えさせられる。真白には本当に幸せになって欲しい。
ネタバレ気味にいくとユイ君のカメラは内蔵フラッシュ無しでマニュアルレンズを装着したストイックな組み合わせで、真白のカメラは広角ズームレンズが付いてるっぽいので父親が風景を撮ろうとして買ってた感じに思いました。雪の中でも真白はカメラを首からブラ下げたままなのにユイ君はバッグにかかる雪まで払ったりする対比なんかも面白い。写真館の同じ写真を素晴らしいと感じるセンスも同じだし、そもそも誤ってシャッターを押した事が始まりだから写真が重要なテーマになってるんですね。風景の素晴らしさやファッション、音楽に歌と全てが本気で作られた素晴らしい作品です。本気でパンフ欲しいです。
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