劇場公開日 2017年3月31日

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「大統領夫人の奇妙な選択」ジャッキー ファーストレディ 最後の使命 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5大統領夫人の奇妙な選択

2017年4月28日
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鑑賞方法:試写会

知的

ジャクリーン・ケネディという実在の人物がどんな思いで夫の暗殺とその事後処理に向かったのかは、正直映画を観たからと言ってわかった気にはなれない。が、物語としてこの映画には、こちらの価値観がざわつくような奇妙さがある。

ケネディ家という同時代の王朝のような家に嫁いだがために、彼女は大きな選択を迫られる。ケネディ暗殺に際して、大統領夫人やケネディ家の一員という看板を背負い続けるのか、それとも自らの人生を歩むのか?

史実ではジャクリーンは再婚し、キャリアウーマンとしても精力的に活動した。が、この映画でジャクリーンがたどり着いたのは、大統領だった夫とケネディ家の威信を守る責任感に見える。その使命にどれだけの価値があったのか、正直自分にはよくわからない。

単純な自分探しのお話ではない。現代における貴族制度や選民主義といったものへの考察が、この伝記映画をより興味深いものにしているのではないか。と、いまだに迷いながらこの文章を書いている。

村山章