「ただナタリー・ポートマンを楽しむ作品」ジャッキー ファーストレディ 最後の使命 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
ただナタリー・ポートマンを楽しむ作品
もう伝記ジャンルは重箱の隅を楊枝でほじくるのが、当たり前になっている。よく知られた事件なので、新展開があるわけでもない。
アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた、主演のナタリー・ポートマンを楽しむ作品である。ジャクリーン本人を研究しつくした、圧巻の演技が見られる。おそらく出演は、「ブラック・スワン」(2011)のダーレン・アロノフスキー監督による製作だからだろう。
なぜ今なのかというと、たぶんJFK(出生1917年)の生誕100周年だからだろう。日本におけるJFKは、本格的に"テレビ放送"で伝えられた最初の大統領であり、ケネディ暗殺事件が、"初のテレビ衛星中継"の最初のニュースだった。
その衝撃の瞬間映像が再現される。よりクローズアップされた、追尾空撮カメラになっていて、そのリアリティも見どころ。
ある世代以上の日本人にとって、ケネディは特別である。それはライシャワー駐日米大使の起用をはじめとする親日政策や、実弟のロバート・ケネディ司法長官の来日など、"日米は対等"を意識させてくれた初めての大統領だったから。本作でも、ロバート氏はジャクリーンに寄り添う、"いい人"で出てくる。
国葬シーンのあと、子供の棺が2つ出てくる。これは事件と同じ1963年に生後3日で亡くなったパトリック・ケネディ(次男)と、1956年に死産していたアラベラ・ケネディ(と命名されるはずだった長女)のものである。ジャクリーンは、若くして家族を3人も亡くした悲劇の人なのである。
この映画では描かれない、その後のジャクリーンも波乱万丈で、十分に映画的だと思う。
(2017/3/31 /ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ/字幕:松浦美奈)