「ストーリーが弱かったのかも」氷菓 ルルさんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリーが弱かったのかも
原作未読、アニメはビジュアルだけ知っていました。
個人的には他の方が仰ってるようなキャスティングミスはあまり感じませんでした。恐らく撮影当時山崎賢人が23、広瀬アリスが22くらいの年齢でしょうが、普通に若いので別にそこまで気になるようなビジュアルではなかったです。むしろこのストーリーでキャスティングまで10代の役者に拘っていたら、映画としてのネームバリュー的に相当厳しかったのではないでしょうか。アニメ版から来て萌えキャラに近いビジュアルを理想としていたらまた違ったのかもしれません。
画としては、氷菓の「ザ・日本の古きよき高校」というノスタルジック感をちゃんと汲み取って表現しようとしたんだなというのが伝わってきました。綺麗でよい雰囲気でした。
残念だったのが、まず第1に実写なのにセリフや一挙一動をアニメに寄せすぎて、キャラ作りがあまりにも不自然だった点です。ラノベの中ならいいのでしょうが、特に漫画家志望の子が現実でフンとそっぽ向けながら「ここは教養の聖域よ!折木は即刻出ていきなさい」と言ったり「折木!教えなさい!」と詰め寄る、「っあぁやられた!盲点だったわ!」といったセリフを言うのが(例え原作に忠実であったにしろ)少し痛々しかったです。他メンバーに関しては「台本が悪かったんだな」という感想ですが、漫画家志望の子の役者さんは舞台のような演技だったな…と感じました。その他先生が告白するシーンなど「演技やセリフが仰々しすぎてダルいな…」と感じる場面が多々ありました。
第2に、タイトルでも話した通りストーリーが弱い点。映画冒頭に校内の些細な謎解きが引きとして連続して続くのですが、まずこれがつまらないです。私は山崎賢人が好きなので良かったのですが、そうでなければ恐らくここでリタイアしていました。本編では推理が二転三転する点や「なぜ氷菓なのか?」「33年前何があったのか?」といった謎を追ってゆくこと自体は面白いのですが、そもそも「なぜ主人公は退部しなかったのか(ヒロインの目に見つめられたから?)」「なぜ皆叔父の真相にそこまで迫りたがるのか」「なぜ初めから大人や姉に聞こうとしないのか」など、動機づけの部分で引っかかるところがかなりあった印象です。更に、結局答えを全て先生が話してしまう、しかもその内容が薄い、なぜ生徒たちは文化祭中止如きで暴動を起こしたのか、にも関わらず退学に関しては叔父含め誰も反対しなかったのか、叔父は結局なぜ生きながら死に、失踪までしたのか…など、疑問点もかなり残りました。映画の本筋として大々的に扱うには、この叔父の物語は観客の興味を十分に惹きつけられなかったのではと感じます。
長々と書いてしまいましたが、しかしながら総合的には割と楽しめたので良かったです。また観るかと言われれば、ひょっとしたら役者さん目当てで観ることがあるかもしれません。