「ゾウさんが好きなのかな?」ビニー 信じる男 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ゾウさんが好きなのかな?
タイトル戦で完敗し、もう3連敗となったビニー・パジェンサ(マイルズ・テラー)は引退勧告を受ける。それでも新しくケビン・ルーニー(アーロン・エッカート)をトレーナーとして迎え入れ、ライト級から動きがベストの状態であるジュニアミドル級へと2階級上げる。最初の戦いは前日にカジノで遊んでいたからだろうと単純に観ていたのですが、やっぱり自惚れ屋さんだったのですね。それでも映画を観る限りでは人が良さそうな感じでした。
階級を上げた方が調子が良いなんてのも、しっくり来て、飲んだくれだが見る目のあるケビン。トレーニングを積み、タイトル戦も決まり、見事ジュニアミドル級のチャンピオンになったビニー。愛車のポルシェに加えて新車フェラーリ(?)を購入して試運転。ここであらすじをすっかり忘れていたため、正面衝突の事故の瞬間に体が飛び上がるほどビックリした。チャンピオンになったから終わりってわけじゃないもんね。そしてビニーは首を折る重傷。医師からは二度と歩けなくなるかもしれないと宣告される。ビニーはハローという脊椎固定手術を受け、半年間も頭の周りに金属の装具をつけて過ごすことになるのだ。
気性の荒い父アンジェロ(キアラン・ハインズ)と心配性の母ルイーズ(ケイティ・セイガル)、そして兄妹たちと穏やかな生活を送り、ベッドの上で横たわるだけの命の使い方に疑問を持つビニー。こっそり夜中に起き出して、地下室でトレーニングを開始する。ある晩、ケビンが夕食に訪れ、夜中のトレーニングに気付く。「そんなトレーニングじゃダメだ」。
まさしく奇跡のカムバック、驚異の実話。重傷を負ったビニーとの対戦相手はなかなか見つからないし、スパーリングだって皆敬遠する中、トレーニングシーンをビデオに撮っておいたためテレビも利用して復活劇をアピールするビニーとケビン。もう一つ階級を上げてスーパーミドル級のタイトルマッチが組まれたのだ。この試合がまた12ラウンドフルの凄まじい激闘。最後には『ロッキー』のように判定に持ち込まれるのだが、判定が出るまで手に汗握る緊迫感。久しぶりに良質のボクシング映画を魅せてもらい満足しました。
〈2017年9月映画館にて〉