「敢えて言おう、ファースト原理主義者であると!」機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星 たけろくさんの映画レビュー(感想・評価)
敢えて言おう、ファースト原理主義者であると!
前作「ルウム会戦」のレビューでも書いたのですが、この「オリジン・シリーズ」にはどうしても燻ってしまう不満があります。それは台詞・キャラクター・場面の軽さです。
この映画を作られたスタッフには敬意を持っています。映像のクオリティーは大変に見応えがありました。
私も、このクオリティーでfirstの続きが見たい…とは思うのですが、正直に言うと、このトーン、この感じのままでは「イヤ!」です。今回の「オリジン・シリーズ」では、それぞれのキャラクターが劇画の主人公のように描かれていて、演技も表情も「やり過ぎ」な印象を受けてしまうのです。
テレビ版ファーストガンダムでは、一年戦争というマクロな動きとホワイトベースのクルーを巡るミクロな動きが絶妙に描かれていました。戦争という、どうしようもない状況のもとこれに対処していくなかで、人間性を踏みにじられつつも(または踏みにじりつつも)、人間であることをやめられない…。そんな人間群像を描いたのがファーストガンダムだと思うのです。「君は生き延びることができるか…」というフレーズが意味あるものとしてこちらに届くのも、そこに理由があると思います。
実際、戦争という「マクロな」状況・事態に「主人公」などいません。firstガンダムのストーリーにも主人公はいない、というより、であればこそ、すべてのキャラクターが主人公たりうる、それがfirstガンダムでした。
今回「正史」を新たに綴った安彦さんを安易に批判したくはないのですが、「安彦先生すみません!どうしても納得できないッス!」というのが正直な気持ちです。
ガンダムのストーリーに主人公はいない
おっしゃる通りだと思います。
「自惚れるんじゃない!アムロ君。ガンダム一機の働きでマチルダが助けられたり、戦争が勝てるなどというほど甘いものではないんだぞ。」
というウッディ大尉の言葉できちんと語られていますよね。
1stの主人公ってアムロじゃないの?
アムロという15歳の少年の視点から戦争を描いた点が作品として斬新だったのではないの?
Originは1stの外伝という立て付けのはずなので、1stでは十分描けなかったキャラクターの深掘りを丁寧に行なっているという点で、作品としては十分です。
マクロの戦争、という意味ではガンダムはツッコミどこ満載です
大体、ホワイトベースがあれほど味方から援護も補給もなく戦い続けられるわけないだろ、というツッコミは当時だれかしたのかな?