劇場公開日 2017年4月29日

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「名作には役者のブレイクのチャンスが眠っているんだな、と改めて感じる見どころ満載のコメディ作品!」帝一の國 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0名作には役者のブレイクのチャンスが眠っているんだな、と改めて感じる見どころ満載のコメディ作品!

2020年4月14日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

本作はコメディ映画としては非常に良く出来ていて、滑っているシーンが無いと言っても過言ではない、珍しいクオリティーです。
これは「翔んで埼玉」にも共通しているのですが、バカバカしそうなことを如何に必死に役者が演じ切られるのかが大切なのです。監督の力量が最も問われますが、その難易度の高い要求にどれだけ俳優陣が応えることができるのかで作品の成否が決まります。
その意味で、「帝一の國」は、未知数な俳優が多かった分、その俳優の今後にも影響を及ぼす転換点となる作品だったわけです。
まず主演の菅田将暉は本作の前からそれなりに活躍しているイメージはありましたが、本作で「赤場帝一」を緩急合わせた見事な演技で演じ切り、演技派に加えて、コメディ俳優としてのポテンシャルも示すことができました。
同様に、 「ちはやふる」で知られる存在となった野村周平はコメディもできることを示すことができたり、竹内涼真、間宮祥太朗、志尊淳といった役者も、この映画を機にブレイクした感があります。
時代設定が「昭和」なので、「高校の生徒会長の選挙」という題材も、本物の大人の選挙さながらの様相で、どことなくリアリティーのあるものになっています。そして、この時代設定だからこそ良い意味での「シンプルさ」と合わせて、しっかりとした人間模様を描き出すことに成功しているのだと思います。
さらにはエンディング曲のクリープハイプの「イト」も非常に良く、クリープハイプの存在感は本作をきっかけに拡大したと思われます。実際に私も、本作で初めてクリープハイプを知り、それ以来関心を持っています。
エンディングでも(ヒロインの割に作風のため出番の少なかった)永野芽郁が扮する白鳥美美子による「みみこダンス(パフォーマンス)」が話題になったりと、細かな演出も最後までしっかりとしていました。
ブレイク前の役者が多かった分、どこまで浸透するのか公開当時は心配でしたが、興行収入19.3億円を記録できたので、是非とも続編を希望したいところですが、果たして“あの後”にどんな面白い展開があるかを制作陣が思いつくのかにかかっているので期待しておきたいと思います。

細野真宏