「面白いけど偏りがある。」帝一の國 さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
面白いけど偏りがある。
『帝一の国』
※かなり前に観ました。
(あらすじ)
古屋兎丸先生原作の実写化です。
政界進出度が高い名門:海帝高校難関高校。
この高校の生徒会長を務めた者は、総理大臣になる確率が高くなる。
入学した赤場帝一(菅田将暉)は総理大臣になって、自分の国を作りたいという夢を持っていた。
その夢を叶える為に、まずは生徒会長にならなくてはいけない。
一年でまず帝一がやるべきことは、ルーム長(学級委員)になり、2年生のルーム長の中から、将来生徒会長になる人物を見極めその犬になることだった。
原作未読のまま鑑賞、後に原作も読みました。
生徒会長選がお話の軸ですが、ポリティカル・コメディとして面白かったです。
映画館は小学校高学年~中学生の子供達で溢れていたのですが、国会の仕組みとか、選挙とか、ふわっと分かる内容になっていて、良くできていたと思います。
また、注目若手俳優総出演でしたが、それぞれ原作のキャラのイメージを壊さぬ怪演っぷり。
おばちゃん、感心しましたよ。
ただ、恐らく民主制VS(絶対)君主性といった、イデオロギーの対決を描きたかったと思うのですが……。
人の話を聞く君主:森園億人(千葉雄大)
人の話を全く聞かない君主:氷室ローランド(間宮祥太朗)
絶対君主制→独裁者が生まれる→差別が生まれる。
民主制(民主主義)が、君主制より優れてると描いている点。
あ、億人さんは、民主化(全校生徒が投票して生徒会長を選ぶという仕組み)を推進してはいます。
民主制を、単なるプロセスとしか描いてない点。
有能で強力なリーダーがいるなら、それにこしたことはないのかも知れないし、民主制(民主主義)でみんなで選ぶことによって、個人の責任が薄まるのかも知れない。
だって民主主義の根幹は、民主がそれぞれの意見(一票)に責任を持つことにある。
双方ともに、問題点があることを描いてない点。
ちょっと短絡的且つ、思想に偏りが見られるのが気になりました。
でも面白かったですよ!
若手俳優さん達の魅力に溢れる、作品でした。
(脚本が"ルーキーズ"のいずみ吉紘さんなので、原作にない過剰でチープな演出があり残念。殴り合いとか要らんでしょ?)