「物語がヒドい…」破裏拳ポリマー 裏窓のミケさんの映画レビュー(感想・評価)
物語がヒドい…
予告篇を観ると…
① 「戦う相手がいかに危険で強大か」
② 「ポリマーシステムがどれだけ危険なものか」
③ 「ポリマーシステムを盗んだ意図」
④ 「俳優陣の体技のスゴさ」
この4点が分からないので
そのあたりに注意をしながら観ていると…
浮かび上がるのは「物語に倫理性がない」という
深刻な事態…
①については、「ポリマースーツは誰が盗んだんだ?」という
ことなんだけれど…予想の範囲を全く出ない
「犯人=内通者」という展開にゲンナリ…
②については、「ポリマースーツが悪用されたら…」という
ことが知りたかったんだけれど…
序盤で説明がされないうえに、後出しジャンケンのように
新しい機能が登場してくるのにガッカリ…
それも、世界を支配できる強大な力を持ち合わせている
というわけではない…
最後の最後に今まで出てこなかった機能が後付けで
登場したときにはもう眠気が…
③については、「何のために犯人はポリマースーツを盗んだのか」
ということなのだけれど、まあベタに「カネ」目当てですよね…
意外性ゼロ…
「何日以内に取り返さないと世界が崩壊する」みたいな
タイムリミットがないからハラハラ感もゼロ
④については、カット割りが細かすぎるうえに
肝心の必殺技はオールCG処理で俳優の体技が見えない…
これで「アクション」がウリなんて笑止千万甚だしいな
というのが正直な感想です…
※ ちなみに、映画のカット数を個人の趣味で数えているのですが
この映画のカット数は、「2315」カットで
1カットは平均して約2.7秒という計算になります…
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.2」より少し少ない
ぐらいの数字。
「ワイルド・スピード ICEBREAK)が
1カット平均3秒なのでやっぱりカットが細かすぎますね…
でも、一番ダメなのは
「テロを防止するためにポリマースーツを取り戻す」という物語が
「家族同士の遺恨の果し合い」にすり替えられて矮小化されているというところ。
血税はたいて開発した秘密兵器を使って
家族喧嘩を展開するというシナリオには閉口…
そして、この喧嘩の結末は…
まさかの「悪役が全員自決」という
「アクションは一体何だったんだ!」と突っ込まざるをえない
そして、悪役の父娘のうちの「娘」が自決した後
父が放った台詞は…
「私のために死ねるなんて彼女も幸せだろう…」
「美しい死に様だった」
戦前の大日本帝国の思想じゃあるまいし…
娘が死んで、こんな言葉を吐き捨てる親いねえだろ!
その他にも…
「税金をバラまいて私立探偵を買収する警察」
「私立探偵に失態を尻拭いさせる警察」などの
警察の描写がヒドすぎ…
こんなんで、ちょっとだけセクシー路線見せられても
イライラが募るばっかり…
(ちなみに、セクシー要素はかなり少ないです)
登場人物やカットにムダが多すぎるし…
物語には「倫理」が欠如しているので
子供の教育には悪いです
ボロカスになってしまってすみません…
この映画は「面白い」とか「つまらない」のレベルではなく
「他人に見せちゃダメな作品」だなと感じてしまいました…