20センチュリー・ウーマンのレビュー・感想・評価
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おもいでの美しさ
母親の苦悩と試行錯誤にグッときたり応援したくなる。
母ちゃんはじめ、出てくる女性がモダン女子ばかり。
皆ツッパってて生きづらそうで、観ていてモヤモヤするシーンも多かった。
目の前にある、自分が本当の克服すべきものと向き合おうとする強さって、誰もが持ってるわけじゃなく。
ここに出てくるのは、懸命に生きてはいるのだけど、本当の課題や幸せには向き合うことを避けている、もしくは気づけていない、そんな人々。
そんな人々が肩寄せ合って慰めあい、助けあった、そんなひとときの話であり、なんとも切なかった。
映像も音楽もストーリーも、綺麗すぎて、現実感がなかったのだけど、この作品のそれは想い出の美しさにもよく似ている。
母を想う
いやもうね3人の女優に魅せられまくりですよ。もちろん男性陣も良かったけどね!!
マイクミルズの終始あたたか〜い感じも良くてですね。音楽も最高でした!
台詞の1つ1つも素晴らし過ぎてですね、メモしたくて仕方ないんですけど。
エルファニングの「2回に1回は後悔する」とか
アネットベニングの「愛そうとしてたのかもしれない。誰かを愛せると知りたかった」てきな台詞とかね。もう名言ですよ。特にオーガズムの話はだいぶ興味深かったですね。どの年代が見ても絶対面白いし学べます。
グレだがあんなにハンサムだったとは!!ずっとかっこよかったですね。アネットベニングももう母親像が理想過ぎて暖かくて良いですよね。
感動的に仕上げてないぶん、自分の母親とも重ねやすくなってると思います。
観ていて色々考えちゃう映画って価値があると思うんですけど、そんな映画でしたね。
自分があの少年ならいたたまれないが…
監督のマイク・ミルズの自伝的な作品らしい。
タイトル」はT・レックスの『20センチュリー・ボーイ』をもじっているのだろう。
前作の『人生はビギナーズ』も実際に75歳になった父親がゲイであることを告白したことを元にして制作されている。
詳しくは覚えていないが悪くなかったと思う。
2010年のあの頃はゲイを扱った映画はそれほど多くなかったし、作品自体も練られていて説得力があったような気がする。
本作もアネット・ベニング演じるドロシアはミルズの母親を、グレタ・ガーウィグ演じるアビーもエル・ファニング演じるジュリーもミルズの2人の姉を投影しているらしい。ミルズは個人的なお話を映画化する監督のようだ。
筆者が高校1・2年生の時、ベニング出演の『グリフターズ/詐欺師たち』『真実の瞬間(とき)』『心の旅』『バグジー』と立て続けに観た。
その後『バグジー』で共演したウォーレン・ベイティ(昔はウォーレン・ビューティと書いてあった)と結婚したことまで覚えているくらい懐かしいハリウッド女優である。
ガーウィグ出演作品は残念ながら『フランシス・ハ』を見逃してしまって『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』を観ているぐらいだが、ファニングは『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』『夜に生きる』において印象深い演技をしている。
中でも今年観たニコラス・ウィンディング・レフン監督作品の『ネオン・デーモン』では出色の演技だったと思う。
(お姉ちゃんのダコタは最近何しているんだろう?)
ウィリアム役には最近『エイリアン コヴェナント』での情けない船長役を演じたビリー・クラダップを配するなど、ジェイミー役のルーカス・ジェイド・ズマンも含めて主要キャスト5人に芸達者を揃えているのでそれだけで観る価値のある映画になっている。
本作の時代背景となる1979年当時筆者はすでに生まれているものの物心がついていないので正直よくわからない。
しかし映画を観ていて当時のアメリカではパンクが流行っていたり、ヒッピーとも違い、ごりごりのフェミニスト的な考え方とも違うこういう時代の雰囲気であったのかと勉強になった。
全然関係ないかもしれないが本作を観ていてナム・ジュン・パイクという現代アート作家のビデオ・アートを連想した。
またアビーが髪の毛を染めているのはデヴィッド・ボウイ主演の『地球に落ちてきた男』からの影響であったり、話の中に唐突に『カッコーの巣の上で』が出て来たり、ミルズに当時影響を与えた映画を知れるようで興味深い。
引用される音楽にしろ映画や本にしろジム・ジャームッシュの監督作品でも彼自身が影響を受けてきたものの遍歴が伺えるが彼のからはアカデミックに近い印象を受けるのに対して、元々はグラフィックデザイナーだからなのかミルズのものからは全体的に感覚的な印象を受ける。
筆者の知人にもかつていたが、女性に囲まれて育った男性は女性の心の機微をある程度理解できているような気がする。
実際に奥深くまで理解できているかは別にしても理解しているふりをするのがうまいとでも言おうか、そういうものを感じる。
筆者は女兄弟もおらず、中学高校と男子校で過ごしてしまったのでさっぱりその辺の機微に疎いが、本作の主要登場人物である女性3人の会話からは時折背筋をゾワっとさせるある種のいたたまれなさを感じた。
女性が監督した映画の中でしばしば感じる男の駄目さ加減をえぐるような感覚にちょっと近い。
もちろん男の監督だから当の女性からしたらまだまだわかっていないと言われるのかもしれないが、この違和感にリアルさを感じたというところだろうか。
ただしあの3人の中で過ごすのは願い下げにしたいし、ましてや深い性の話など絶対にしたくない。
本作の最後で5人のその後がそれぞれ描かれていくのだが、実際にモデルとなる人物がいるためか彼女らがその人生を歩んでいくのに納得できた。
インタビューを読む限り筆者は監督のミルズとは思想信条なども全くかけはなれていると思われるが、本作のように素晴らしい作品であれば全く異なった価値観であっても腑に落ちる。
それも映画を観る醍醐味の1つである。
全ての女性が魅力的
この映画に出てくるすべての女性が素晴らしいのですが、ママ役のアネット・ベニングがとても魅力的で、かっこいい。
レインコーツを聴いて「もっときれいに演奏できないの?」とツッコミを入れたり、ジェネレーションX世代の音楽を理解しようとライブハウスに行ったり、ブラックフラッグとトーキンヘッズのレコードを交互に聴いて部屋でダンスしたりと、とてもチャーミングな女性を好演。
部屋で音楽を聴きながら踊るシーンが多いもの好き。
中盤でママ役のドロシアのあるナレーションでハッとして、もう胸が熱くなり...
儚さ切なさ
1979年のサンダバーバラを舞台に母ドロシーと息子ジェイミーを中心に綴られる一夏を描いた作品。
エルファニングのネームバリューだけで見た感は否めない笑。
母と息子の愛情的なものかと思いきやみんなそれぞれに悩みは不満を抱えていてやりきれない気持ちをもっているんだ的な感じだった。つまりうろ覚え笑。
エルファニングが何もせずに毎日添い寝してくるというご褒美なのか拷問なのかよくわからない設定に悶えた笑。
ジェイミーを見守る1人としてジュリーとともに選ばられたアビー演じるグレタガーウィグもショートヘアびっしり決まっててカッコよくてセクシーだった。
ウィリアンはいい男なのかそうじゃないのかいまいちよくわからなかった笑。
ティーンネィジャー少年の周りに刺激の強すぎる女性が集まって、それによる悪影響を心配する母がその女性らに自分のことを考えろと指摘され、女を取り戻そうとクラブに出かけるみたいな感じの内容。
これをもっと綺麗に儚げに切なく描いているので是非このレビューは参考にしないでいただきたい笑。
良い映画だったけどこれを表現する文才は自分にはないなぁ。そこは残念。
個性
所詮人間の目標はいかにしてセックスに辿り着くか、オーガズムを得られるかであって、「個性的」というのはその過程が人より少し特殊な人で、同じような種類の人と出会えた人に過ぎない。
没個性の人間ほどセックスに辿り着きやすいのも結局はそういうこと。
彼はエル・ファニングの生殺しによく耐えた方だ。
素直に称えたい。
そしてセックスに辿り着けない人間は「無」なのである。
74
する事が限られた退屈な時代。だからこそ沢山話して触れ合って人の温も...
する事が限られた退屈な時代。だからこそ沢山話して触れ合って人の温もりを感じて過ごせる。と。ウィットに富んだ言葉選びとテンポの良い軽妙なやり取りが思わせてくれる。そして1979年を彩る音楽、パステルカラー、角張った車、粋な仕草。魅力しかない。生まれる時代間違ったと思う人多発しそう。魅力しかない✨
猫みたいなエル・ファニング
夜中に窓から入ってきて布団にもぐりこんで一緒に眠り、朝になると器用に梯子(?)を降りて帰ってゆく、不愛想な猫のようなエル・ファニング様がとてつもなく可愛い。
最後の、登場人物それぞれが語るエピローグが良かった。
過ぎ去ってしまったけれどかつてそこに確かにあった時間、というのが映画のなかに詰まっている感じ。
昔のアルバム写真を見返した時のような。
画面から放つ色合いがとても優しくて爽やか。
毎日が天候に恵まれたような心地よい日差しと日常感が
最後まで一貫していて、観ていて気持ち良かった。
1979年 当時7歳。男子。
自身の記憶から薄らいでいく十代の頃の夏休みの出来事が、
思い出されてなんとなく懐かしい気持ちになり、
また当時の母親との関係をふと思い出したりもして。
昔のアルバム写真を見返した時のような気持ちになりました。
クルマが駆け抜けていく映像が印象的。
まるでタイムマシンのよう。
ドロシア
部屋で読書をしながらタバコをふかす姿がとても味わい深い。
一人の人間として対等に真剣に息子と向き合って話し合おうとする。
息子の急激な成長と変化に戸惑いながらも一生懸命な母親の姿を
自身の母親と重ねて観ていました。
ジュリー
見た目も価値観も自分よりもはるかに大人に感じる幼なじみの女の子。
こんな子いたなぁ…。
あれだけ仲良しだったのに次第に疎遠になっていく感じも。
アビー
年に一度あるかないかの疎遠な親戚の集まりで
こんな感じのお姉さん居た。
親戚中で一番浮いていてどこか都会的な雰囲気。唯一話せた仲。
そしてジェイミー
個性的な女性に囲まれて女性からたくさんのことを教えられて、考え、学び、成長していく姿が私には羨ましく見えました。今思い返すとあんなに母親や異性と向き合って話すことなんてなかったなぁ。
特に母親からあれこれ言われるたび鬱陶しくて仕方なかった。
反抗したりして。だけど本気で叱ってくれていたんだ。
そりゃ親は疲れるわ…
ジュリーにタバコの吸い方を教わるシーン。
あの年頃ってやっぱりカッコから入っていくんだね。大人の世界に。
女子からかっこいいタバコの吸い方を学ぶなんて一生忘れないだろう。私にも教えて欲しい…
で、今の自分はウィリアムかなーと。
監督のとても個人的な思い入れが詰まった作品ですね。
とても心の優しい人なんでしょう。きっと。
今度母親に会うときはいろんな話をしてみよう。
なんて思いました。
Black FlagもTalking Headsも両方好きだ
77年でPUNKは終わったって解釈もあってピストルズは1stのみ発表でJ・ロットンはPILでニュー・ウェイヴのジャンルにThe Clashは「London Calling」で純粋にロックンロールをジャズやレゲエにダブを取り入れていわゆる初期PUNKは基本的に77年度の1stアルバムな訳で!?
母親の青春時代はヒッピーでも無ければモータウンや50'sなオールディーズでも無いジャズの時代を謳歌した人でましてやPUNKにそれ以降のハードコア・パンクにニュー・ウェイヴは理解出来ず。
息子のT・アルバのTシャツ(デッキもアルバ)もナイスでBlack Flagの「NERVOUS BREAKDOWN」にTalking Headsを聴き比べる母親の場面は知識がある人には微笑ましく良い意味で笑い所。
年老いてからの子育てはそれなりの歳で産んで育てている母親とはまた違った関係性があるのだと思う反面、過保護なんだか放任主義なんだかイマイチ掴み辛い母親の考え方!?
ズングリムックリな鈍臭い印象だったG・ガーウィグがクールに格好良い女性像で闇を抱えながら演じ魅力炸裂だしE・ファニングも素敵な存在感。
B・クラダップの存在感は薄かったが「カッコーの巣の上で」のオチを話す場面は面白かった。
素晴らしきクロニクル
一つの家に住む面々の人生が淡々と綴られた、平坦な物語、というかクロニクルというべきだろうか。
特筆すべき出来事も起こらないし、かなり入り組んでいて知的なところもあるので、大衆受けはしない気がした。
個人的には70年代後半から80年代前半を中心に描かれていただけでツボであり、トーキングヘッズを軸にパンクムーブメントも積極的に取り入れているところも感じて、かなり感傷的に観賞した。
何より、ファッションとかセットがとにかく魅力的で、まさに画面の中で生きたいと終始思いながら喜怒哀楽をくすぐられた。
ウーマン・リヴを強く感じさせるその視点は、不思議と現代的に感じてしまうわけで、同時に世界は決して発達し続けているわけではないと思ってしまう。
そして何より脚本が優れていると感じるわけで、演技演出というものを超越して、発せられる言葉そのもので涙や笑みが出てしまう。日常的な事柄を組み合わせているだけに過ぎないのに、交錯するクロニクルに感動してしまった。思わず、出来もしないのに、自分も自身にまつわるクロニクルを作りたいと思ってしまうまでに、心を動かされた。
たばこも酒もセックスもかなりの頻度で登場するけれど、高潔な映画だと感じてしまった。といっても、教育的とも思わないし、子供にも推奨できない。ただ、素晴らしい作品であることは間違いない。
みんないい人たちで
登場人物それぞれのキャラクター設定がしっかりしていて、役者さんたちの演技も素晴らしかったです。
それが故に人物同士の影響の与え合いというか、共鳴というものがあまりなくて勿体無いなと感じました。
作風からそういうのは似合わないのかもしれないけれど、もう少し喧嘩したり皮肉ぶってもよかったのかな(笑)
お互い相手を赦し理解しようとする姿を見て、みんないい人たちだなと温かい気持ちになりました。
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