「分裂と利己主義」20センチュリー・ウーマン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
分裂と利己主義
ベトナム戦争も終わり、アメリカ国民が団結することもなくなった1979年。このカーター大統領の演説に感動したというシングルマザーのドロシアの言葉が印象に残る。大恐慌時代に生まれ、何かと戦前、戦中の生き方が身についてしまっていたドロシア(ベニング)も息子の教育には悩む。象徴するのはパンクロックだったりスケボーだったり、性の解放についての書籍も多く出回ってた時代だ。
幼なじみで、いつも屋根伝いに侵入してくる2歳年上のジュリー(エル・ファニング)。ベッドの上で一緒に寝るけどセックスはしない。親しすぎて、体の関係を持つと友情も終わってしまうという意見の彼女だった。もう一人の24歳の女性写真家アビーは子宮頸がんについて悩み、同じく一つ屋根の下に暮らす何でも屋のウィリアムと仲が良い。
ライフスタイルも世の潮流も変化しつつあるけど、芯が強ければいつの時代でも生きていける。人の痛みを理解できれば優しくなれる。もうジェイミー少年はしっかりしてるじゃん!それという事件もなく、楽しそうなルームシェアの言わば家族を観ていると羨ましくも思えてしまう。この時代を懐かしむにはもってこいの作品であるのだろう。
年代は違うけど、それぞれの信念を持っている彼女たちは20世紀女性とも言える存在だったし、大きく変化せず、それぞれの幸せな道を歩んでいったストーリーにはそれほど感銘を受けられなかったかなぁ。また、母親だけの物語じゃなく、womenと複数形になってることからジュリー、アビーの物語でもあるんでしょうね。
ちょっと残念なのは、音楽シーンを語るのなら、1979年と言えばスリーマイル島原発事故から発したノーニュークス・コンサートが開かれた年。これを語らずして、1979年はない!と、音楽好きの俺は思うけど・・・
ああ、そうかー“women”複数形だったのですね。
いま名古屋で、am2時までの荷物の積み込み中です、「母の日」のグッズや鉢植えがたくさんベルコンの上を流れていますよ。