「母の目から見た息子と自分」20センチュリー・ウーマン bikkeさんの映画レビュー(感想・評価)
母の目から見た息子と自分
50代も中盤に差し掛かった母が息子を持て余す。しっかりと地に足のついた男に育って欲しい、そのためには母親の力だけでは足りない。シングルマザーなら、いや母親なら誰もが抱くであろう悩みと、母としての自負と、さしたるドラマのない日常を生きる自分へのもどかしさ。
自分のようになってほしくない。そのセリフを語る彼女は哀しそうだ。しかし、下宿人の子宮癌の経過を気にかけ、消防士を誕生パーティに招び、クラブを見学に行き、自分の好きな音楽とタバコを誰が何と言おうと楽しむ姿は、息子の心に焼き付いている。20年後、肺がんでなくなる、息子にメモを残す力もない、とのモノローグ。母は永遠に息子を思い、やり残したことを後悔し、何者にもなれなかった自分をちっぽけに感じるのだ。母の目から見るとしみじみと共感する映画。
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