「素晴らしきクロニクル」20センチュリー・ウーマン SHさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしきクロニクル
一つの家に住む面々の人生が淡々と綴られた、平坦な物語、というかクロニクルというべきだろうか。
特筆すべき出来事も起こらないし、かなり入り組んでいて知的なところもあるので、大衆受けはしない気がした。
個人的には70年代後半から80年代前半を中心に描かれていただけでツボであり、トーキングヘッズを軸にパンクムーブメントも積極的に取り入れているところも感じて、かなり感傷的に観賞した。
何より、ファッションとかセットがとにかく魅力的で、まさに画面の中で生きたいと終始思いながら喜怒哀楽をくすぐられた。
ウーマン・リヴを強く感じさせるその視点は、不思議と現代的に感じてしまうわけで、同時に世界は決して発達し続けているわけではないと思ってしまう。
そして何より脚本が優れていると感じるわけで、演技演出というものを超越して、発せられる言葉そのもので涙や笑みが出てしまう。日常的な事柄を組み合わせているだけに過ぎないのに、交錯するクロニクルに感動してしまった。思わず、出来もしないのに、自分も自身にまつわるクロニクルを作りたいと思ってしまうまでに、心を動かされた。
たばこも酒もセックスもかなりの頻度で登場するけれど、高潔な映画だと感じてしまった。といっても、教育的とも思わないし、子供にも推奨できない。ただ、素晴らしい作品であることは間違いない。
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