劇場公開日 2017年6月3日

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「揺蕩うセイラムの紫煙までが眩しい家族愛の物語」20センチュリー・ウーマン よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0揺蕩うセイラムの紫煙までが眩しい家族愛の物語

2017年4月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

思春期真只中の15歳の少年ジェイミーと母ドロシア、ジェイミーの幼馴染ジュリー、ルームメイトの写真家アビー、住込みの大工ウィリアムの5人が紡ぐ家族愛の物語。1979年が舞台なので全編淡く色褪せた色調の映像が美しく、まるで昭和のATGや東映、松竹の青春映画を弐番館で観ているようなノスタルジー溢れる愛すべき小品。

ジュリーを演じるエル・ファニングは同じく1979年を舞台にした怪獣ジュブナイル『スーパー8』でも主人公が淡い想いを寄せるヒロインを演じていましたが、本作でも実にキュートなヒロインを演じていて、昭和でいうところの森下愛子、手塚理美、秋吉久美子のような透明感に満ちた母性を滲ませた名演。思春期ならではの危ない遊びに興じるジェイミーを案じながらも本人の前では平静を装う母ドロシアを演じるアネット・ベニングも凄くキュートで、年頃の息子を持つお母さん達は物凄く共感できるのではないでしょうか。みんな始終セイラムを燻らせている辺りもいかにも70年代で実に愛おしい作品です。

よね