カフェ・ソサエティのレビュー・感想・評価
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ロマンチックでノスタルジックな人生の諦念
夢見た通りにいかない人生を、決して否定することなく、取返しのつかない後悔さえも肯定するようなラストに震えた。ウディ・アレンは、わりとハッピーエンドでも皮肉なラストでもどっちでも構わないと言いたげな境地にいる作家だと思うが、時たま、本作のようにラストが一番ものを言うような映画を作る。『カイロの紫のバラ』しかり『ギター弾きの恋』しかり『ブルー・ジャスミン』しかり。どっちのアレンも好きだが、ラストにすべてが集約される凄味があるこっちのタイプはほぼ間違いなく傑作に仕上がっていて、当然ながら近年のアレン映画でも指折りの傑作だと思っている。
【”移り行く時の流れの中で・・。”一介の青年が1930年代の華やかなハリウッドで、美しき女性達と出会い成功していく様をファンタジック且つアイロニック且つシニカルに描いた雰囲気抜群の物語。】
■平凡な青年・ボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)は刺激的な人生を夢見てハリウッドを訪れる。
業界の敏腕エージェントである叔父フィル(スティーヴ・カレル)の下で働き始めたボビーは、秘書のヴォニー(クリステン・スチュワート)に心奪われるが、彼女には交際中の男がいる。
そんななか、彼はヴェロニカ(ブレイク・ライヴリー)という女性と出会う。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・1930年代のハリウッドの映画関係者の家で行われる、数々のパーティシーン。お㎜額も衣装も素敵である。
ー ウディ・アレン監督の憧れなのか、皮肉なのか・・。-
・ボビー演じるジェシー・アイゼンバーグが羨まし過ぎる。最初に好きになったのが、フィルの秘書、ヴォニーを演じたクリステン・スチュワートであり!、彼がその後結婚したのはヴェロニカを演じるブレイク・ライヴリーである!
ー お二人とも好きな女優さんである。
特に前者。
まあ、私で言えばクリステン・スチュワート似の妻と、元カノに挟まれているような感じでしょうか・・。イタタ、石を投げないで下さい!)-
■その後も、ボビーは順調に出世階段を上り、豪華なカフェを開く程に成功する。だが、その裏で行われる数々の殺人も軽やかに描かれている。
ボビーは表層的に幸せそうな人たちの裏の顔も徐々に学んで成長していく様の描き方も良い。
ー 拳銃で頭を打ち抜き、掘った穴に投げ入れ、セメントミキサー車で固める・・、という手順が随所で描かれる。-
<今作はゴージャスなハリウッド黄金時代を舞台にした、一人の青年が成功していく様を、二人の美しい女性との恋も絡めて描いた作品である。
華やかなりし、ハリウッドの闇と光もキチンと描かれている作品でもある。>
タイトルなし
映像、色が当時の映画のように撮影している。叔父を取った昔の恋人に互いに未練がありつつも、現状の人生にも満足して終わるラスト。何とも言えないウッディ・アレンらしい。
キラキラ女子・ヴォニーの魅力
ニューヨークでのヴォニーとボビーの再会までは、あらすじだけを見せられている感じがして退屈でした。
しかし、この再会シーン以後、ヒロインのヴォニーに興味が出て、最終的にはそこそこ面白く観れました。
ヴォニーは力に魅了されるキラキラ女子だ。ハリウッド時代も、一時的にボビーと付き合っていたけど、どっか心ここに在らずな雰囲気だった。ネブラスカ出身というのも引っかかり、フィルを選んだことはとてもしっくり来た。ボビーにとっては忘れられない相手だろうが、ヴォニーにとっては箸休め程度の相手だろうな、と思っていた。
しかし、再会時ボビーはカフェ・ソサエティの支配人となり、権力を持った存在になりつつあった。実は、ヴォニーにとってはセンチメンタルな再会ではなく、新しい恋愛対象としての再会だったのでは?
今すぐどうこうすることはないが、無意識下ではフィルが沈んだ場合のキープとして直観しているかもしれない。何せ相手は自分に対して強烈に固執している。ヴォニーがその気になればチョロいだろう。
ヴォニーの凄味は、勝利の方程式をナチュラルにやってのけるところだ。フィルの離婚も、外堀を埋めて離婚させたわけではなく、結果的に自身の魅力だけでフィルを奪っている。
計算高さはさほど感じられず、最終的には気持ちを重視する。しかし、優しいだけの男などノーサンキューと言ったところか。ミーハーじゃないけどギラギラ男の嫁の立場をゲットするなど、懐が深く複雑な側面もある。大物だ。
つまり、ヴォニーは単に自分と釣り合った相手を望んでいるだけなのだと思う。不倫の恋に葛藤する様子もあまりみられないため、自分の欲求を満たすためには道徳観など屁の河童なんだろうね。
ボビーも成長し、自分と釣り合いが取れてきたな、と感じ取り、僅かにときめいたのかもしれない。
物語後半は、ボビーもヴォニーもお互いパートナーがいつつも気持ちが揺れる展開になりますが、ボビーはガチで揺れているけどヴォニーはほんの一時の気の迷いくらいに見えてしまった。
ヴォニーは心の奥底で「ボビーでは満足できない」と思っているように見えてならなかったです。
のんびり楽しむ年中行事。
年に一度のウディアレンです。
また、この季節が来ましたね、という感じ。
それ以上でも以下でもない出来でした。
ウディは一体あと何作新作を撮ってくれるのでしょうか。
その最後まで私も生きていたいなーという次第。
今回の主人公はジェシーアイゼンバーグです。
もっと昔の(アニーホールとかの)アレン演じる主人公ほど、
屈折してないです。
素直さのあるユダヤ系の青年の半生でした。
ロスにきて、クリステンスチュワート演じるヴォニ―に恋をして、
でもヴォニーは彼の叔父(スティーブカレル!)と不倫していて、
叔父を選び、ジェシー失恋。
傷心のジェシーはN.Yへ戻り、ナイトクラブを経営し始める。
そして、別のヴェロニカと出会い結婚。
そんな中で、ナイトクラブの仕事を世話してくれた、
ギャングの兄が投獄されたり、叔父と結婚して、かつては嫌っていた
ロスの映画人になってしまったヴォニーとチューしたり・・・
でもやっぱり一緒にならなくて正解だったねってお互いが、
遠く離れたところで思いましたとさ、という話ですね。
クリステンとジェシーが私的にはすっごくお似合いで大好きなので、
それだけで元は取れるというもの。
30年代のファッション、アレンっぽいユダヤ人家庭の食卓の
シニカルな笑いなど、楽しめました。
ま、会心作って訳ではないんですけど、
ほんと、一年に一度の愛すべきマンネリとでも言いましょうか。
そんな感じでした。
若い恋、大人の結婚
最初は若い二人が結ばれるのかな?と思ってましたが…
ハリウッドでは、ドライブしたり、海に行ったりしていたのに、ニューヨークではクラブのシーン。セントラル・パークの朝焼けのシーンは心に残りました。
やっぱりウディアレン!
相変わらず、おしゃれでブラックユーモアのある素敵なストーリーだった。
彼の話は、いつも単純にうまくいくラブストーリーではない。今回も、同じ女を既婚者の叔父と取り合うというなかなかなシチュエーション。
社会的に成功して地位があり、自信に満ち溢れた既婚者フィルが、離婚して求婚をせまってきたときと、
まだ何も無いが、若くて希望に満ち溢れ、深く愛してくれる主人公ボビー。
モテオンナのヴォニーはどちらを取るのか…?
そう、結婚は愛だけじゃないのだ。
失意のままボビーはニューヨークに戻り、カフェを経営するのだが、それが大成功。
そう、結局彼は失恋をして、志を仕事に持つことによって、フィルのような成功者へと近づいていくのだ。
時が経ってからも、また2人は会い続けてしまう。一番愛を感じられた、あの時の思い出のために。
2人の女優、ヴォニーが本当に美しくて、結果的にボビーが結婚したヴォニーも、とっても魅力的。
しかし、上手いなあ。おしゃれだなあ…。
ウディアレンの映画は何本も観ているが、個人的にはかなり好きな方の作品。
初ウッディ作品鑑賞
20代前半の私が初のウッディ作品。感想として胸糞悪いの一言。笑
1930年代のハリウッドは華やかでとても良かったし、翻弄する青年も悪くなかった。しかし冒頭、食っていく為にデリヘルする女優から始まって、主人公の想い人は25歳違いの社長の愛人。結果社長は奥さんと子供を捨てて愛人と結婚。
主人公だって別の女性と結婚して子供がいるにも関わらず元カノと逢瀬。それが男のサガなのか?それが大人の恋愛なのか?結局男は恋人を裏切り若い女へ乗り換えるのか?それをオスの本能だとか言い訳するのか?理性があるから人間なのでは?
ロマンチックな恋愛を夢見る女には全く向いていなかった。若いカップルにも全くお勧め出来ない。こんな不倫男絶対無理気を付けよう。と再認識させられた映画でした。
今度多分二度とウッディ作品は見ません。こういう映画に憧れるのはヤリチンクソ男なんだろうなと思いました。結婚とは・・・。
過った恋をして人は遠い目をする。
今年も来ましたウディ・アレンの新作。いったいいつまで現役なんだよ?と突っ込みながらも、毎年楽しみに待ち侘びていたりします。今年の主演はジェシー・アイゼンバーグ。「ローマでアモーレ」で既にアレン映画への出演経験はあるけれど、単独主演としては初。けれどもこのアイゼンバーグがまるでウディ・アレンの分身のように作品にハマる。タイプライターを指で弾くようなリズミカルなセリフ回しと小気味良いスピード感は、若き頃のウディ・アレンのセリフ回しを彷彿とさせるような。だけど決してアレンの物真似ではない感じ。アレンがこの映画の主演にアイゼンバーグを選んだ理由がよく分かるような気がした。
物語としては、過ちの恋、言ってしまえば不倫の恋の交錯が、アレン節で描かれているという感じなのだが、アレンにかかれば、不倫も軽妙なコメディで、不倫という言葉から連想するドロドロした感じやら背徳的な雰囲気とは違う小粋さと軽やかさ。かと言って、浮ついたような気配はなく、むしろこの映画が終わって心から「これは大人の映画だなぁ」としみじみ感じたほど。
映画は、不倫を責めるでも肯定するでも非難するでも美化するでもなく、ただふと遠い目をして幕を閉じる。この結末はやっぱり年輪を重ねた人でなければ書けないものだろうなぁと思う。私のような人間の考えだと、例えば主人公を罰するなり、あるいは逆転のハッピーエンドなり、そういう何かしらの決着やカタルシスをくっつけたくなってしまいそうだけれど、そういう決着をあえて付けずに、ただただ遠い目をするラストシーン。暗転した後で思わず「大人だなぁ」が漏れました。人は、過った恋をすると、泣き喚くでも怒り狂うでもなく、ただただ遠い目をするものなんだ。いやぁ、大人です。不倫にお洒落もへったくれもないはずだけど、やっぱりなんか洒落てました。さすがウディ・アレン。
ジェシー・アイゼンバーグもクリスティン・スチュワートもスティーヴ・カレルも、なんなら助演のパーカー・ポージーもちゃんと見せ場があってシーンをさらっているのに、なぜかブレイク・ライヴリーはそのネームバリューとスター性には見合わないほど影が薄く(もちろん圧倒的に美しかったけれど)、ゴージャスなドレスを二度着せるために出てきたみたいで、ファンとしてはちょっと物足りなかったな。
ララランドに似ていると聞いて。
僕はララランドが大好きなのですが、なにやらララランドに似ている映画が公開されたという噂を聞きつけこの映画を知りました。
いざ見てみると、世界観や、色使い、配役などはどれも素晴らしく、また、展開も中だるみなく面白く、いい作品でした。
随所随所にララランドと比較される意味も分かるなというシーンも多くあり、「あ、ここもなんとなく似てる!」「あ、ここも!」という感じで違った楽しみ方もできました。
しかし、主人公とヒロインの愛し合い具合がララランドと比較してあまり伝わってこず、ラストシーンでもあまり感情移入できなかったなというのが一番の感想です。
ラストの演出は、個人的にもすごく好きで、余韻を持たせたいい終わらせ方だったと思うのですが、これをしたかったなら、もうちょっと二人の相思相愛ぶりを見せて欲しかったなぁ...と思ってしまいました。
見る順番がカフェ・ソサエティ→ララランド だったら、
また違った感想になったかもと思います。
人生の岐路に浮かぶ夢泡沫
一番印象に残ったのは最後のシーン
人との出会いの岐路で右に行くか、左に行くか決断をしなければならない。
もし逆方向に行っていればどうだったのだろうか、あるいはやり直しが今からでもできるのか、もう手遅れなのか。
想い返して感じることは人それぞれ。
映画を観た人に、これまでの人生の中の出会いとその岐路となる決断を振り返ってみてはと訴えているような気がした。
よかった
池袋で時間がちょうど空いていて、新潟でもそのうちやるみたいだから観なくてもよかったのだけど、他に観るのがなかったので観た。
特に何か心に残るものが何もなかった。人がうろうろして、こうなりましたというだけの印象で、そんな感想も申し訳ないのだが、正直なところ「だからなに?」と思った。オレみたいな人間が見る用には作られていなかったのだろう。
ジェシー・アイゼンバーグがピュアだったのが盛り場の支配人になってすっかり風格が出て、それでもピュアなところはあってかつての恋人に再会するけどお互い変わったところと変わらないところがありました、みたいな、それでもどうでもいい感じがする。短かったのがよかった。
おじさんと元彼女は子どもを作らなかったみたいであった。
ウッディ・アレンはウッディ・アレン
主人公はハリウッドで彼女を奪われて、ニューヨークでカフェの支配人になって結婚し、子供も生まれたが、ある日、叔父が訪ねてくると二人の仲は急接近、そして新年のカウントダウンで二人はそれぞれ、胸に去来するものを思いつつジ・エンド
美しくノスタルジーな世界観が幸せな気分に
どちらのヴェロニカも美しく華やかで素敵。
30年代アメリカの雰囲気も味わえる。
主人公が自分の彼女と父親の彼女が同一人物だと気づかずに、父の恋の応援をするなど所どころクスッとする部分もあった。
でも、主人公にしてもヴェロニカにしても相手への想いが強い感じはあまりしなく、軽く幼い恋にみえた。
主人公は結婚して子供を授かった後も元カノと気軽に恋を復活させたり、元カノヴェロニカも夫をお金で選んだと衒いもなく口にし、ほんの僅かな罪悪感で軽く夫を裏切る感覚に、この作品は浅いものなのかと感じてしまった。
この時代の恋愛感覚なのか、そこがコメディ要素になっているのか。それとも本来男女が愛し合うってこういうものなんだよってことなのか。
ウディ・アレン監督の作品は初めて観たけれど、他の作品も挑戦してみよう。
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