ハクソー・リッジのレビュー・感想・評価
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人を殺す戦場で人を助けること
メル・ギブソン監督ということで、興味深く思って視聴。沖縄の前田高地(ハクソー・リッジ)という場所で、実際にあった戦闘・救出劇を題材にしている。戦闘シーンは、これでもかこれでもかっていう位に、生々しい描写。相手の雨のような銃撃がヘルメットを貫通して簡単に仲間が倒れ、砲撃や銃撃で血が飛び散り、両足がふっとび、はらわたが飛び出る。白兵戦では、敵味方が入り乱れて、殴り銃剣やナイフを突き刺す。
一通りの戦闘が終わって、主人公のドスは神に問いかけ、負傷兵を一人また一人と引きずって助けていく。しかも敵兵までも。こんなに多くの兵士を助けるなんて無理でしょって思ったら、実話と聞いてびっくり。
冒頭、先を争って崖を登るシーン、兄弟喧嘩が嵩じて、ドスが兄のトムをレンガで殴ってしまうシーン、父が母を虐待している時に父に銃を突きつけるシーンで、人の中にある闘争本能、生き抜こうとする本能が提示され、それを克服しようと主人公が誓ったことが提示されている。そうした本能や感情と信仰(人として曲げてはいけないもの)と両立させることはできないのか? それが、この映画のテーマかと。
人を殺す戦場で、人を助けることだけを自分の信念に基づいて行動したドス。どの宗派かは調べていないが、そういう宗教もあるっていうのは一つの救いか。世界を見渡せば、戦争とか紛争がある国や地域はある。そういう問題に、自分は何もしなくてもいいのかって突き付けられるような気がした。ドスのようなことでなくても、何かできるのではないかと。
つらい…
つらい…。
敵が御先祖様方な映画、思った以上につらい…
日本側の状況や心情等々の知識があるから、決死の表情で襲い来る日本兵に感情移入しすぎてしまった。
日本兵も助けてくれてありがとう…。
戦争よくない…。
そしてこんな偉業を成し遂げなければいわゆる“普通“と違う考えが認められないのも、辛かった。
戦争により、精神を病んでしまったお父さんも辛かった。
戦争映画なんて絶対泣いてしまうと思ったけれど、あまりにも辛すぎて涙が出なかった。
感動秘話!のようにドラマチックに描かれるのでなくて、ひたすらに信念を貫き通す主人公を静かに追っている感じがとても良かったな。
日本側を過度な悪として描きすぎずにいてくれた製作陣に感謝です。
褌一丁で手榴弾を持ち一矢報いようとする場面や切腹等々、少ないながらも私が学んできたような日本兵についての情報が誠実に映像化されていて、ありがたし…となりました。
たしか日本側は手当てアイテムもそんなになかったはずな中、アメリカ兵は点滴やモルヒネ等充実した医療アイテムが用意されていたのを観て、はあぁぁ…日本兵辛い…となりもうした。
戦争よくない…。
私がハクソーリッジに衛生兵として取り残されたとしたら、足がすくんで一歩も動けないと思う。自分の信念を真っ直ぐに貫き行動に移せるなんて、本当に勇敢な方だと思いました。
汝、殺すなかれ
Netflixで鑑賞(吹替)。
これが実話とはかなり衝撃的でした。信仰の狂気が極限の戦場で凄まじい力を発揮する様は、凄惨な戦争において信念を貫くことの尊さと云う痛切な問いを投げ掛けて来ました。
ひとりの男の行いに焦点を絞ったことで戦争賛美に陥らない作風に好感が持て、一見偽善に映る主人公の行動に周囲が感化されていく展開には、底知れぬ感動すら覚えました。
メル・ギブソン監督らしいリアルな戦闘描写に戦慄。「プライベート・ライアン」冒頭のD‐デイのシーンに匹敵する凄惨さで、戦場のリアルをこれでもかと突きつけて来る。
監督がオーストラリア人だからこそなのかアメリカ礼賛の作品に全くなっておらず、なんならアメリカへのちょっとした皮肉すら感じさせられる、傑作戦争映画でした。
信念は銃や爆弾よりも強い。75点
銃も持たず、戦場を駆け回る主人公の姿には感動を禁じ得ない。
徹底して信念を貫く不器用な主人公にはいくら映画にしてもやり過ぎだろと思ったが、実話だというからおったまげる。
話は自体は面白かったけど、戦場で引きの絵が極端に少なくややチープに見えるので迫力に欠ける。
実話と知らずに観たので、実話だと知った時に生きて帰れたことが本当に...
実話と知らずに観たので、実話だと知った時に生きて帰れたことが本当に「良かった」と思えた。
信仰心を持っていない身としては、なんでそこまで強い信念を持てるのかが不思議で仕方がないけど、武器を持たずにあの戦場で70人以上もの負傷兵を救い出して自分も帰還出来たことは、信じた人に与えられた所謂"神のご加護"なのかな。
戦争映画を見ると、不況の世の中ではあるものの、つくづく戦争のない時代に生きていて良かったなと思える。
信念を曲げたら僕は生きていけない
あんな近距離で戦うなんて、実際、想像を絶する恐怖だったろうな。映画の中とは言え多くの日本人とアメリカ人の戦死者を出した戦いは凄まじいのひとこと。
デズモンド(主人公)が、「汝、殺すことなかれ」とのキリスト教の教え(モーセの十戒の一つ)を守るという点では、一見キリスト教の物語とも言えるが、根底に流れているのは、自分の信念を貫くことの大切さである。
なお、入隊直後の訓練時、銃を持たないので上官に呼び出され時の尋問で、僕の宗派では土曜が安息日で、というセリフがある。日本語字幕では省略されてしまっているが、英語のセリフではその前に、確か、I'm a seventhday ・・・と言っている。これは、彼がちょっと特殊なキリスト教の一つである、セブンスデーアドベンチスト教会という宗派に属していることがわかる。
※印象に残ったセリフ
(主人公が銃を持てという上官の命令に背いたため軍法会議にかけられ、牢屋で面会に来た婚約者に言ったセリフ)
デズモンド:
プライドのせい?そうかもしれない。でも信念を曲げたら僕は生きていけない。君だって失望する。
信念の重み
多数の名もなき民間人が軍に見捨てられ死んでいった悲劇の沖縄戦の映画を観るのは辛いので正直気が進みませんでしたが、番宣で反戦の衛生兵の話と知ってBSで鑑賞。
デズモンド・ドス衛生兵は映画化の条件として脚色を嫌ったのでほぼ実話といって良いでしょう。良心的兵役拒否者(Conscientious objector)なんて扱いがあったことは驚きです。日本なら非国民として即刻処刑ものだったでしょう。
ハクソーリッジ(浦添市前田高地の断崖)は沖縄北谷(チャタン)に上陸した米軍が首里城の日本軍の本拠地へ向かうルートにありました。迎え撃つ日本軍は硫黄島同様、地下トンネルを拠点としたゲリラ戦で応じました。映画では民間人が巻き込まれていないのがせめてもの救いです。
平時と有事のダブルスタンダードは詭弁としても受け入れざるを得ないのが現実と思っていましたから個人の信条が尊重される本作には驚きました、ただ戦争の悲惨は余りにも酷く、これを参戦の妥協案やまして美談として認める気にはなれませんが個人の限界としてデズモンド・ドス衛生兵の行いは賞賛に値することに異議はありません。
劇中でも銃を拒否するドスに「日本人はクリスチャンじゃない」というイスラムのテロリストの発するような説得がありました、信仰心に基づいたとしても人次第です。平和ボケとか馬鹿と言われても今日の平和が多くの犠牲の上にあることを噛みしめるばかりです・・。
視点はアメリカ寄り
後半の銃撃戦が「プライベートライアン」を引き合いにされるというのはよくわかる。生々しさと迫力が通常の戦争映画より何倍もすごい。現場にいるような臨場感。テレビ放映で見たけど、劇場だったら身動きできなかったと思う。前半が長すぎる、というレビューもあったが、逆に後半が長すぎたら観客にあのインパクトを与え続けるのが難しくなったと思う。前半のやや冗長に感じる部分が後半の緊張感を与える結果につながったと感じる。
日本兵の描き方はまだまし、という評価もあるが、視点はアメリカサイド、というよりキリスト教徒サイド?映画の中の会話に出てくる「敵はキリスト教徒ではない」。キリスト教徒でない奴は殺してよい。これは十字軍の時代からずっと同じ理屈。だからアメリカ新大陸に上陸したときも原住民を殺してよい理由となった。
公平性という面ではクリント・イーストウッドの「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」のほうが双方からの視点を描いていてイーストウッドのほうに軍配が上がる。
それでも感動するのは主人公がアメリカ軍がいったん撤退をすることになり、主人公が迷う場面。ここが最大の見せ場。どう考えても戻れば地獄なのはわかっている。でもそこで戻る主人公。そこからがすごすぎる。前半で主人公をいじめた上司が救出された後、主人公に言う言葉「やせっぽちの変な奴」(そんな表現だったと思う)、つまり屈強でもない、その主人公が75人(!!)もの命を救うなんて、実話でなかったらとてもじゃないけど、信じられない(でも、実話!最後に本人のビデオが登場)。やせっぽちでもスタミナがあったんだね。あの崖をどうやって降ろすのかと思ったけど、あのロープの訓練が役に立つところがおもしろい。
ちなみにほかのレビューであの崖のネットを日本兵が切ってしまえばどうなった?って言ってた人がいるけど、またアメリカ軍がかけ直すだけでしょ。
一途な信仰心
デズモンドが幼少の頃からの出来事から信仰心を目覚めさせ、その信念のもと、戦場でも特異な活躍をする話。
この当時の軍隊であっても憲法を大切にするアメリカに敬意を表する。
基本的に軍隊であれば、規律は大切。
命令のもと、整然と行動されなければ、命に関わる現場。
そこにあっても個人の信条が優先される。
正直すごい国だと思った。
当時の。
だとしても一緒に戦う仲間としては、面倒くさいし迷惑な奴だなというのが感想。
上司にとっても扱いにくいだろうし。
だけど、結果として彼の行動で命を救われた仲間がいる。
救いたいという一念で無鉄砲な行動で仲間の命を救う。
その想いの強さには脱帽。
人と違う人でなければ特別なことはできないということか。
信念の強さ、信仰心。
怖い。
なんにしても、戦場の悲惨さ。
なんともリアルな死体や血や肉片で画かれる。
やっぱり戦争は下の下策。
沖縄戦について知らなければ。
後半だけでいい、
前半はずっと出征前の話。
その経緯が長く感じてそこまでいらんかったと思う。
家族のことや彼女とのこと、軍の内部のことなどアメリカ国内でのくだりが時間とりすぎて、この映画のメインの訴えたいところまで半分をとってて「間延び」してるかんじもあった。
それがとてももったいなくもあった。
後半がよかっただけに。
ようやく真ん中くらいから、結婚初夜?のシーンからの「沖縄」にいきなり移る。
後半からこの映画のタイトルの「ハクソーリッジ」のコトバ、その凄惨な戦場が出てくる。
なんともそのストーリー展開の組み立て方が急すぎでもあり、よくわからんかった。
そこからは怒涛のすさまじい沖縄戦の戦場シーン。
その前半との差もすごいものがあって、一気に身体がこわばった。
でも、後半はよかった。
「もう1人、助けさせてくれ」、後半こそ、「この映画で伝えたいこと、訴えたいこと」であろう。
それだけに間延びしてちょいムダとも思える前半が残念。
前半部分は5分の1でいい。
実話ってすごい・・・
実話というのが凄い。敬虔なキリスト教徒であるガーフィール役の主人公が銃を持たず、誰も傷付けないで人を助けたいという自分の信条を曲げず、衛生兵を志願し、過酷な軍のいじめにもめげず、晴れて衛生兵となる。沖縄のハクソー・リッジは難攻不落で、グロテスクなほどに銃撃戦、爆撃シーンに血が飛び散る。そんな中、敵味方かかわらず負傷兵を75人も崖から降ろし助ける姿は本当の意味でのヒーロー。こんな実話があったのかと驚いた
戦争映画の新たな視点
主人公のドズは身体能力が高くも、武器を持たない主義を掲げ、衛生兵として戦場で命を救う闘いに身を投じるーーー
そこまでは予告やあらすじで想像できていたが、ハクソー・リッジ沖縄の戦地の名称だったとは、、
これは一般教養だっただろうか?
その前提知識もなく鑑賞して途中で沖縄戦と知り、日本人であれば当然その後の戦果を知っているわけで、ドズが助けるほどに日本は劣勢になるだろうが、助かる命を助けることに罪はない。
ドズを責めづらいが、安易に称賛もできない。
沖縄侵攻の悲惨さを考えるとそれを助長したドズはアメリカのヒーローであっても、日本人から見たら悪魔かもしれない。
日本人だけにはこの映画を別の視点から見ることができるだろう。
戦争という題材の複雑さを存分に感じられる作品として是非一回は見ることをオススメする。
なぜ銃を持てない人間が軍に居られたのか?
事実に勝るフィクションはない
75人もの負傷兵を救った衛生兵の存在、それも良心的兵役拒否者(厳密には違う 以下C.O[Conscientious Objector]と略す)がというストーリーは真実であるからこそ心に重くのしかかる
しかしながら名誉勲章を授与された方に対して大変失礼ではあるが、映画内での演出はそ伝説がかえってフィクションに感じさせてしまった
私が心を打たれたのは寧ろ「武器を持てない人間がなぜ軍隊に入れたのか?」という過程である
WW1に従軍し戦後はPTSDに苦しんだ父親という存在が主人公との対比として巧みに描かれている
入隊後「武器を持たない」というドスの信念は予想通り受け入れられず、"フルメタルジャケット"並みの洗礼を受けた
それでもドスは挫けない
彼の愛国心がC.Oという異質な自身を保ち続けていた
そして、その「愛国心」こそが本作のキーだった
我が国では愛国心は戦争に駆り立てる道具として用いられたが、本作では「愛国心」≠国家の消費財
=アメリカの価値観を守ること
として明確に定義されていた
そしてアメリカの価値観とは「自由」
--多様な考えや宗教の存在を守る 多様性を尊重する--
この国民的価値観が根底としてあり、尚且つ合衆国憲法でそれが保障されていたからこそデズモンド・T・ドスという存在が成立したと思い知らされた
物語のハイライトだと感じた軍法会議のシーンにおいて私はドスの父親の台詞に激しく胸を打たれた
確かに彼は戦争の消費材のような存在であったかもしれない、しかし決して彼は軍のために戦ったのではない
彼はアメリカの価値観を守るために戦った守護者なのだ
その軍服姿は本来のアイデンティティを取り戻したように映り、だからこそ規律厳しい軍組織に対してあそこまで物申すことができ、そして彼の独白は真の愛国者としてただただ美しかった
戦争映画であるが現在にも通じる「我々は何を守っているのか?」を問いかけた作品だった
戦闘シーンが少し物足りない
教えを守り、仲間の兵達にリンチされながらも自分を貫く主人公の信仰心が素晴らしかった。
序盤は家族や恋人といった日常シーンが続き、
ガーフィールドの演技も相まって戦争映画を見ているような気分にならず海外ドラマを見ているようでした。
戦闘シーンは大量の日本軍兵士達と米兵が総当り戦のように入り交じって迫力がありましたが、アメリカ側のみに焦点が当てられ、日本側の将校や指揮官が出てこないのが疑問に思いました。ハリウッドだとしても他の映画では、敵側にも役割がきちんと描写されている映画を観てきた分、今回は物足りなさを感じました。
戦闘描写の時代考証はやはり重要ですね。
信念を曲げずも投げ出さない素晴らしさ、そして仲間の協力のありがたさ
「銃を扱わない、持たない」と自分の信念を貫き、人を救う為に衛生兵として戦場へ。
戦争映画と言う認識だけで詳しい内容を知らずに観ていたら、悲しくも日本との戦いでした。
今でもこうやって日本との戦いが描かれ、日本兵士の無慈悲で鬼のような襲い方…それだけ手強く凄まじかったのだろうと感じました。
アメリカ視点で観ていると、始めは何故かアメリカを応援したい気持ちになり(アメリカ人の本質が良い人達で好きだから)…それから日本人として日本兵士の思いを知っている為、だんだん両国の兵士の気持ちになりました。
どちらの国も大事な人を思いながら戦う姿…胸が熱くなります。
衛生兵のデズモンド・ドス、、銃を持たなくても立派な兵士として職務を全うするその姿は涙なしには見れず、とても勇敢でした。実話であるからより一層。
そして、アメリカは今でも戦場へ足を運んで戦っていること…各国を代表して…縁もゆかりもない土地へ…。辛く苦しくなります。
でも、この映画は辛いだけでなく良いことも描かれていました。
描写もリアルで戦場の在り方が伝わってきました。
観て良かったと思う良い映画です。
ウソのような本当の話
実話と知らずに観ていたらなんて真実味のない話だ、と思うところだった。主人公が信心深く、平和主義なのは結構なことだが、軍隊という規則で成り立っているような組織を根源から覆してまで主義主張を通すところに白人的傲慢さが見えた。この戦闘シーンが本当なら、主人公が生き残ったことは奇跡的であり、信心深いメル・ギブソンがありがたがって映画化したのには納得がいった。
祈る神様がいない私でも
私は日本人にありがちな、ふんわり仏教風味な無宗教。祈る神様がいない。
祈るときは神様仏様ご先祖様と祈ってきた。
だから主に語りかけたり、教えにより何かを守り抜くという発想も習慣もなくて、いつも思うけどその手の作品に対して入り込めない面がある。
そしてこの作品は、敵が日本人…
作中の複雑な心境たるやスゴくて、戦闘シーンや生々しい描写の間、ずっと泣きながら謝ってしまった。
その距離感と辛さを差し引いても4点。
味方からの誤解と批判と攻撃に屈さず、人を傷付けず、自分を危険にさらしながらも助け続け、凄惨な戦地を去った後も穏やかな表情で笑う姿、感動なんて言葉では表せないほど感動しました。
祈る神様を持つ人には、きっともっと心打たれる作品なのだと思う。
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