「深遠な人間愛に包まれる作品」ハクソー・リッジ サンディさんの映画レビュー(感想・評価)
深遠な人間愛に包まれる作品
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これは戦争映画ではないと思う。哲学や信仰の表現、もっと大きな「人間愛の映画」だと思った。注目を集める戦闘シーンは、前半の「生きる喜び」を際立たせると共に、メディアの注目を集めたり観客を動員するための方便で、人間の持つ「濁」の部分を表現することで、戦争を嫌悪させる。どんな映像でも、現実にはあるはずの「温度や臭い」は無いのだ。さて、前半のキスシーンでまず涙が落ちた。人間の持つ「清」の喜びって、なんて素晴らしいんだろうと。後半の戦闘シーンで涙が落ちた。人間の持つ業って、なんて悲しいんだろうと。自分の信じるもの(志や信仰)のために或る人は殺し、或る人は救うのだから…。そう人間は「清濁併せ持つ存在」なのだ。氏より素性というが、人は家庭環境で主な人格(骨)が出来上がる。それも親に倣うより、反面教師とすることが多い気がする。米兵も日本兵も亡くなった人も生き残った人も、結局「目糞、鼻糞の違いでしかない」。ただ日本側からすると、この映画に添えておいてほしかったのは、兵士以外に沖縄の民間人が多く亡くなったという史実だ。もっと人間は成熟して、「自分の考えを他者に強いない」ことで「他者の支配」ではなく、共存共栄を目指すべきだと思う。もし、南海トラフが来て私が生き残ったら、一人でも近くにいる人を助けたいと思った。「メル・ギブソン」恐るべし。イーストウッドと共に映画に生きる場所を見つけた先進等の生き様を尊敬し、制作スタッフの皆さんに感謝したい。
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