ロスト・エモーションのレビュー・感想・評価
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久々面白くない映画
クソみたいな話。
好きになる過程が何故何処で好きになったか内容が薄すぎるし、
そもそも何故感情が出たらどう危険なのか、何故そういう時代になったのかの意味も分からず、
ただただ静かな映像だけが流れただけ。
しかも最後も視聴者の想像にその後を任せるみたいな終わり方。
ロミオとジュリエット的
サイラスとニアは愛し合い、逃亡の計画を立てるが、検査でニアの妊娠が発覚する。
仲間の助けでニアは戻ってくるが、すれ違いがあってサイラスは感情を抑制する注射を打ってしまう。感情が無くなっても計画通りに逃亡してジ・エンド
ラストはニアの手にサイラスが手を置いて見つめ合う。
ハリウッドとしては出色の作品
SF映画ではあるが、内容はラブストーリーだ。
世界観はユニークで、人類が最終戦争で全滅に近くなったのは、人間の感情が原因なのだという。そこで残った人間たちはゲノムを操作して感情のない人間だけの世界を作り出したという設定だ。
人間の精神活動は感情も理性も論理も直感も、それぞれが個別に存在しているわけではない。広大な無意識の空間に意識がぽっかりと浮んだり沈んだりしているのが人間の精神だ。感情だけが個別に浮かんでいるわけではない。遺伝子から感情だけを取り除くというのは無理のある設定で、とても映画など作れそうにないが、流石はハリウッドである。遺伝子みずからが失われた感情を取り戻そうとするはたらきを、SOSという病気であるという形で設定し、力わざで実写映画にしてしまった。
実は人間を不幸にするのは感情であるという考えかたは、ブッダの言葉の中にもある。「スッタニパータ」という本のなかでは、感情という言葉ではなく、執著と言っている。曰く、名前を付けるのがよくない。名前は愛情を生み、愛情は即ち執著である。執著は恐怖と不安を生む。色即是空、空即是色という般若心経の言葉のとおり、本来は無である筈のこの現世のヒトやモノに執著することが悟りを妨げる。
この映画にも、もしかしたら仏教的な思想の敷衍があったかもしれない。そう考えれば実験的な映画でもある。
昔、歌手から政治家になった中山千夏が、男女の愛情は即ち性欲であると、本のなかで喝破していた。この映画の中でのラブストーリーは、性欲からはじまる。ここにも映画のユニークな世界観が窺われる。そして生めよ増えよという、いわゆる人類の歴史であるパラノドライブに感情が繋がっていく。
穿った見方をすれば、リドリー・スコットは、突き詰めた未来が円を描いて人類のはじまりの種明かしになるというお得意の設定を、この映画でも表現したかったのではないか。そう考えると、主役のふたりがアダムとイブに思えてくる。
出演者は、感情を取り除かれたという困難な役柄を微妙な仕草や表情でよく演じていた。観賞直後は不思議な思いであったが、いろいろなシーンが印象に残り、忘れ難く蘇ってくる。
ハリウッドとしては久しぶりに出色の作品である。
切なすぎるラスト。〝感情”が持つ大切な意味とは。
【賛否両論チェック】
賛:〝感情”がない近未来の世界で、〝愛”という感情に目覚めた主人公達の葛藤を通して、人間性に対して〝感情”が持つ重要性を描いていくのが印象的。あまりにも切ないラストにも注目。
否:展開は非常に淡々と静かに進むので、思わず眠くなってしまいそう。
やはりこの作品の特筆すべきは、その意味深な世界観です。人類が争いをなくすために〝感情”を失うという選択肢を選び、同時に〝愛”を始めとする大切な感情もなくしてしまった世界。そんな世界で〝誰かを愛する”という感情に目覚めてしまった時、果たしてそれが本当に排除されるべきことなのか、主人公達の深い葛藤に、〝感情”が持つ大切な意味合いについて、思わず考えさせられてしまいます。そして何といっても、すれ違いがすれ違いを生む圧巻のラストも、切なすぎて思わず胸が締め付けられるようです。
ただ設定やストーリーはやや無理がある感もあり、かつご都合主義的でもあります。また、展開もかなり静かで淡々と進むので、興味を持って観ていても、気をつけないと眠くなってしまうかも知れません。
とはいえ、人間の大切な〝感情”というテーマについて踏み込んだ、ある意味異色ともいえるSF映画ですので、是非ご覧になってみて下さい。
SF的ド直球
【未体験ゾーンの映画たち】という日本未配給の映画を上映するというプログラムの中の一作。ジャンル映画の中でのSF映画としては本道であり、それゆえ概視感は否めず、アイランド (2005年)のそれに舞台が似ていて、ある部分日本人が好物なプロットだと思う。しかもラストシーンも、卒業(1967年)を彷彿とさせていて、これも又日本でもヒットした作品だから、食べ合わせは悪くないのかもしれない。といったらロケにおいては建築家の安藤忠雄氏の建造物が多く使用されていて、だから親近感が湧くのかも。未来の話なのにノスタルジーを感じさせる出来となっている。
自分個人としては、『感情』程やっかいなものはなく、却ってこの世界観の感情を排した人間になれればと願うのだが、社会に順応できずに苦しむ主人公やヒロイン、そして同志達を観ていると、自分とはやはりステージが違っていて感情移入は中々出来にくい。急に特効薬が完成するというご都合主義の展開も鼻につくが、まぁSFだしね。
ただ、久しぶりに音楽と映像の親和感は強く感じ取れた。音楽って大事だね。
ラスト前に主人公(マッドマックスでウォーボーイのニュークス役だったのをググって知った)がビルから飛び降りようするシーンはこの作品のキモで、夢で見たデ・ジャビュにまさに突き落とされる瞬間、しかし死を躊躇い、生きながらえながら死を選ぶ新薬の投与という道に進む件までのヒロインとの行き違いの展開は昼メロのようで上手い脚本であると。もう少し、濡れ場が激しかったら生への渇望という演出が観客に訴えると思うのだが、欲しがりか?w
テーマ的にも色々な映画のオマージュ的な要素もあり、興味ある一本である。
白い世界
このコミュニティの目的と設定は有りきとして、感情や個性や自我が無い訳ではないし、SOSの人とそうでない人との境界が良くわからず曖昧でモヤモヤする。
終始まったりとした空気感だが特に序盤から中盤の主人公がSOSに感染しているとわかった後の説明調は若干退屈。
終盤になりストーリーが動いて面白くはなったが、意外性や衝撃的な出来事はなく決定打にはかける感じ。
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