パーフェクトマン 完全犯罪のレビュー・感想・評価
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ラストは・・・・やられた
フランスの犯罪映画で 貧乏なイケメンが主役といった共通点もあり、
どことなくアランドロンの『太陽がいっぱい』が、頭の片隅にちらつきながら観ていた
映画の冒頭で、ラスト(=結末?)を見せられたせいもあってか、
最後は「そうきたか」とビックリするけれど、
そのどんでん返しの面白さと、そこに辿り着くまでの半端ないモヤモヤ感と、どっちを天秤にかけるか・・・・
『イブ・サンローラン』で一躍脚光を浴びたフランスの若手俳優ピエール・ニネが主役!!と前面に打ち出しているけれど、果たして本当に実力派No1なのか?
彼に限らず、見た目でも演技力でも魅力を感じる出演者はいなかった
特にアリスの友人(元彼?)スタンの髪がズラっぽく見えて
感情移入出来なかったのは、自分だけだろうか
しかもアリスに対する恋心が未練たらたらで不愉快
だけれど可哀想な男の代表
映画のタイトルトとは、ほど遠いストーリーだから、期待して観ない方がいい
嘘に嘘を重ね、いきあたりばったりな犯行を重ねるのだから
見た目では、拭き取ったように見える床の血液の痕跡
スタンの爪に残るマシューのDNA
死体を包んだり運んだりしたときの指紋や
2階から落とし、引きずっていった跡
ボートに残る指紋
更には、身代わりにされて殺された脅迫犯とマシューとの違いすぎる骨格
極めつけは、世間に顔ばれしている自身の存在を
自殺に見せかけて抹殺しておきながら、彼女の近くで働き生活する etc
すぐにばれることばかりで、素人ながら「おいおい、せめて●●しろよ」
等とアドバイスさえしたくなる有り様
鋭い女性だと、ぞっこんのスタンに言わしめたアリスだけれど、
あのマシューの言動から『浮気』だけを疑うなんて!
それほど鋭い女性ではなかったのが幸いしてセーフ
唯一面白かったのは、マシューの夢
この設定のおかげで、1度で2度その違ったシーンを楽しめる
「偽り」という2冊目の本は、店頭にディスプレイされるほどで
少しは売れたことが出版記念パーティの様子で分かるが
犯罪のことまでは書いていないにせよ
一体何が書いてあったのかは判らず仕舞いなのがなんだか悔しい
作家は、売れる作品を執筆するためには、
やはり自身の壮絶な体験が、自己犠牲?が必要なのだと改めて感じた
PS 大富豪とは知り合いになりたくないな
タイトルなし
リプリーを思い出す。嘘から名声を手に入れた作家の男が殺人まで手に染め、取り返しの付かない、ラストは、自殺に見せかけ、妊娠中の恋人のもとを去る。自分が書いた本当の作は世に出て、子供模目の前にいるのに諦めざるを得ないのが切ないが自業自得。
犯罪を、妖しい色気へと転換させたサスペンス
全て見栄と虚像を守るための空虚しい殺人。最初は一つの小さな完全犯罪から始まる。それは魔が差すようにして手を出してしまった「盗作」という犯罪。証拠を残さずにうまく行ったかに見えたが、そこから坂道を転がり落ちるように主人公は、自らの見栄と虚像を守るための犯罪を積み重ねていく。
計画性はない。緻密さも低い。そんな危ない殺人だけれども、主人公を演じるピエール・ニネの美貌と妖気がそれを魅せるものに変える(「イヴ・サンローラン」でもサンローランをちょっと妖しく演じていて好きだった)。比較にはならないことはもちろん承知の上で、ついうっかり「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンを思い出してしまった。さすがに21世紀の「太陽がいっぱい」と呼ぶには、主人公の度量の小ささ、犯罪の動機のチンケさなどで憚られるが、趣としては近いものがあるかな、と。罪に汚れ。罪に怯える姿を「色気」や「妖気」に置き換えて表現していた部分は非常に気に入ったところ。
映画が描いているのはひたすら美青年の殺人。そのテーマ一本に完全に絞っており、その分物語は至ってシンプル。それ以外のサブストーリーとなるようなエピソードもほぼ入ってこないストレートさで、さながら短編小説の一篇を読むような感覚に近い気がした。そしてこの作品に関してはその感じがよく合っているような気がした。
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