「SFらしいアイデアとキャラクター」亜人 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
SFらしいアイデアとキャラクター
この作品はR指定がないようで、観客の中に結構子供がいた。中の一人が上映中ずっと喋っていたので、微妙に映画に集中できなかった。まあ仕方がない。運が悪かった。
予告編を見て、怪我をしたら自分を撃ってリセットできるのは分かっていた。アイデアは面白い。戦闘場面が次から次に浮かんでくる。特殊能力を持つ人間が迫害されるという設定はステレオタイプだがわかりやすい。この映画では日本の政官財の癒着したムラ社会を取り上げ、情報を隠蔽し政官財の利益のみを追求する国民不在の政治がさりげなく描かれている。環境設定としてはそれで十分だ。ムラ社会の中での人間関係でも状況次第では立場が危うくなることを官僚役の玉山鉄二がうまく表現している。
SFアクションとしては、通常ではあり得ない戦闘シーンが実に痛快だ。特に綾野剛の演じる佐藤(ちょっと佐藤健と名前が重なってややこしい)の戦闘能力たるや、半端ではない。警察の特殊部隊との戦闘は、かなりスカッとする。この戦闘シーンだけでもこの映画を見る価値は十分にある。綾野剛の鍛え上げた肉体も見事である。世界観も独特で機知と戦略に満ちている。度胸も十分だ。不安と恐怖に苛まれ続ける弱い人間からすれば、ある意味うらやましくもある。このキャラクターは非常に面白いので、どこかでもう一度見たいものだ。
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