劇場公開日 2017年7月8日

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「それは、一瞬のきらめき」逆光の頃 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0それは、一瞬のきらめき

2025年6月22日
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鑑賞方法:DVD/BD

幸せ

癒される

カワイイ

京都の平凡な高校2年生男子の何気ない、だが内面では言語化できないようなモヤモヤが流れる中途半端なところでたゆたうような日常を、静かに穏やかに描いていく青春映画。原作は「コップのフチ子」の原案者でもある漫画家タナカカツキのデビュー作で、小林監督が映画化を熱望したとのこと。原作者も映画の出来を絶賛したそうだ。

いつものことながら小林監督の映画に流れる空気感が抜群にいい。青春というものがあっという間に過ぎ去ってしまうもの、そしていつかはその記憶さえ忘れてしまうようなものだということが、言語ではなく“空気”として映画の中に満ち満ちている。そのようなことのできる人はそうはいない。思うに小林監督は青春の空気というものをいつまでも自分の中に感覚として記憶していて、しかもそれを映像化できる稀有な人なのだろう。僕も観ていて青春時代の感覚が呼び覚まされ、そしてそれがいずれたやすく消え去ってしまうものであることもわかっているから、切なくなってちょっと胸が締めつけられそうになった。なんだか眠りの中で夢を見てるような感覚とでも言いますか。映画に映し出される京都の風景もどこまでも美しく、画作りの上手さもこの頃からすでに健在だ。

主演の高杉真宙もとてもいいが、ヒロインの葵わかながとにかくめちゃくちゃ可愛い。葵わかなにしろ、『殺さない彼と死なない彼女』の桜井日奈子にしろ、『恋は光』の西野七瀬にしろ、特にファンというわけでもないんだが、いずれもめちゃくちゃ可愛く、おそらく小林監督は女の子を魅力的に撮る天才なんだろう。そういう監督って僕はかなり好みだ。

バラージ
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