「哀しきお父さん」ウィンターストーム 雪山の悪夢 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
哀しきお父さん
トム・ホランドとジョエル・キナマンの名に惹かれて鑑賞したのですが、なるほど・・・確かにこれは日本では劇場未公開だったのも妙に納得、タイトルや簡単なあらすじから予想した以上どころか、想像し得るところまでも届いていない感じでしたから、見終わって何となく物足りないんですよね、ラストももうひと山あるのかと思ったら、思いのほかあっさりで・・・。
まあしかしジョエル・キナマンが演じたこのお父さんを見ていると、ただただ哀しくて、辛くなってきますね、ホント哀れ、前妻と離婚したのも物凄く納得、最初は前妻やその再婚相手に微妙に不快感すら感じたのですが、これだと確かに離婚して当然かも、性根も暗いし、とりあえず明るい家庭にはならないこと間違いなし、そんな男の末路はホントただただ哀れとしか言いようがなかったです、しかも全く擁護できないレベルですから、見ていてとにかく辛くなりました。
このお父さんの生きる糧は、どうも子供だけだったようですが、その歪んだ愛情が少しづつ浮き彫りになっていく様子は、何とも言えないうすら怖さがありましたね。
なかなか会えないから、余計に子供に対する愛情が溢れてしまい、間違った方向に向かってしまったのでしょうか。
子供達と今後について話せば話すほどどんどん壊れていくお父さん、そして狂気に駆られていくお父さん、怖かったです、哀しかったです、でもそれオンリーの映画でしたので、重苦しいは辛くなるは、とりあえず見て得することはあまり無い映画でしたね(苦笑)
子供からしたら、もう新しい家庭での生活もあるし、そっちは金銭的に裕福なようでしたから、正直あまり積極的には会いたくない実の父親だったのは明白なのに、ただ一人それに気付かないお父さんがホントただただ哀れで仕方なかったです。
お金は無いのに見栄っ張りで、コンプレックスの塊のような腐った性根を持つ様子を醸し出すジョエル・キナマンの演技自体に関しては素晴らしいものがありましたけどね。
子供2人の演技も良かったです、将来的にはトム・ホランドも昔はこんな映画に出てましたと言う、お宝的作品になるかも?でも地味に弟君の方がいい味出していた気はしないでもなかったのですが。
で、肝心の雪山の山小屋での話はと言うと、当然ながらこれはこれで怖かったですが、様々な作品で描かれてきた手垢が付いた題材ですから、どうしても比較しちゃうと全然物足りなかったですね、これだと。
と言うか雑?山小屋に辿り着いた他の遭難者2人との絡みにも、もう一工夫欲しかったなぁ・・・それにしても、あの2人がちょっと可哀そうでした・・・。
まあ何にしても、粗暴なお父さんの哀しき自業自得物語、子供達はホント災難でしたね、そして切ない涙がとても印象深かったです。