「原作未読であれば」ゴースト・イン・ザ・シェル Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
原作未読であれば
正直、原作はかすりとも観ていない。興味はあったものの、その前に多数の映画作品を観すぎていて観る時間が無かったと言い訳でもしておこう・・・。原作ありの実写化で、特にそれが漫画だったりすると中々興行、評価の面で上手くいかない事が多い気がするが、本作も紛れもなく"コケた"部類に入る作品である。だいたい107分で歴史ある物語を描こうとするのが無謀な気がする。長ければ良い訳では無いが、原作未読の私から見ても、短くね?と思ったものである。
だが、普通のSF映画のオリジナル作品として考えれば、決して悪い作品では無いはずだ。電脳化された主人公が時折現れる幻影に苛まれながら、真犯人を追うという、サスペンスフルな物語で起承転結が出来ており、加えてスカーレット・ヨハンソンの真骨頂、アクションが加わる。更にそこに未来社会の美しい映像世界と、ビートたけし演じる荒巻の「アウトレイジ」さながらのシーンなど、かなり高水準のクオリティを誇る作品ではないか。キャラの立つバトーらの人物描写にもう少し重きを置いた方が全体的な重厚感アップに繋がったのでは無いかとは思うが、ビジュアル、ストーリーにはそれ程問題は無いように思える。スカーレット・ヨハンソン演じる少佐こと草薙元子がそもそも外国人であるという事も個人的にはイマイチ釈然としない部分はあったり、(一応本編でその理由について語られるが)ビートたけしは日本語をずっと話し、それに周りが英語で答えるという普通の組織や企業だったらおかしな描写にはやはり気になる。「日本が好き」や、「日本のリスペクト」な気もするが、あまり余計なことはしなくても良い気がする。もし原作もそうならば申し訳ない。
現在で続編の可能性は低いが、あれば観たい作品だ。
やはり、何かの映像化というものは非常に困難を極めるものだと改めて認識させられた。私も含め目が肥えた観客に納得してもらう為にも、本編が3時間近い、もしくは超える時代になっているのだろう。