「原作嫌いですが期待していました。その期待が」ゴースト・イン・ザ・シェル うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
原作嫌いですが期待していました。その期待が
予告編のビジュアルに魅かれて、劇場で鑑賞。極端に評価が分かれる作品だなあと、どこか突き放した目線で見ていましたが、何よりも、アニメ作品の「攻殻機動隊」が好きじゃない。むしろ嫌いの部類に入る作品だったので、へえ、スカーレット・ヨハンソンがまたSFアクションに出演するんだ。ちょっと見てみようか。という程度の感想でした。
そもそも、90年代に流行したというサイバーパンク系のSFとやらがどうしても好きになれず、草薙素子は出動するときにどうしてビルの屋上からダイブするんだろう?などという無関心この上ない感想を抱いたりしておりました。
スカ・ヨハのおかげで、少佐だか、素子だかが、血の通ったキャラクターに生まれ変わることを夢見て、勝手に期待していたのです。ま、その期待は見事に裏切られましたが。
このストーリーが決定的に弱いのはキャラクターです。感情移入できる人物がいない。例えば泣いている子供がいたら誰だって助けてあげたくなるでしょう。スカ・ヨハは怪我をしても眉一つ動かさない(義体なので)当然、痛みなんて伝わりませんよね。彼女たちが戦っているのは誰なのか、何だか怪しげな組織に壊滅的な打撃を受けますが、その危機的状況はよく伝わってきません。
大雑把に言うと、「ロボコップ」と「ブレードランナー」のブレンディング。自分のアイデンティティーを取り戻そうとする主人公と、それを阻止しようとする組織の対立を軸にストーリーが進行していきますが、必要以上に脚本が不親切に書かれているので、その流れが上手く進行しません。
頭のいい人は難しいことを簡単な言葉で説明できます。
頭の悪い人は簡単なことをわざわざ難しくしてしまいます。
この映画の脚本は、頭の悪い人が書いたようです。
当然、主要キャストは自分が何者なのかも理解できないまま、一生懸命に演じているので、上滑りした演技になっています。
一番ひどいのが、ビート・タケシ・キタノ。。。一人だけ別のスタジオで撮影して、後で編集してストーリーにくっつけたように見えます。原作リスペクトで、クール・ジャパンを象徴する存在をキャスティングしたかっただけなのでしょう。主要キャストと、呼吸が合っていません。ひどすぎる。
2020.9.3