「万人受け?いやいや中身が薄い駄作。」ゴースト・イン・ザ・シェル ビックルさんの映画レビュー(感想・評価)
万人受け?いやいや中身が薄い駄作。
全く期待していなかったので観れないことはなかったがこれ、原作ファンも初心者も誰にも響かない内容です。薄くしたら万人受けするとかバカにしてんのかと。
良かった点
ビジュアル面は意外とがんばっていて、各キャラクターの設定やキャストの不一致感も一部を除きそこまで悪くはなく、一応ちゃんとハリウッド大作っぽくまとまっている。
カットなども原作映画準拠のニヤリとするシーンが豊富にあり目で見て楽しむことは原作ファンでもある程度できる。
悪かった点
あまりにもうっすいテーマ性。母親が出てきた時点でかなり嫌な予感がしたがまさか母親エンドだとは思わなかった。序盤からかなりの間クゼの存在をフィーチャーしていてその存在の大きさを散々匂わせといて最後クゼあっさり死んで終わり?は?ってなります。
急にストーリーの軸が変わってしまい最後ちょっと出てきた母親と再会しこれからも仲間とともにがんばりますエンド。なにこのクッソ陳腐ストーリー。脚本家は小学生かな?
別に原作どおりにしろとは思っていなかったがビジュアルを中途半端にがんばっといて肝のテーマ性をカスにしてしまいなにこれ状態。こんなしょぼいまとめ方なら最後も原作準拠でいいだろと。因みに原作は義体以外自分を自分たら占めるものはゴーストのみという己の存在に孤独や空虚を感じる素子が自分と同じような存在の人形遣いと融合し誰でもない実態のないゴーストのみの存在となりネットの海に漂う存在になるという選択をするエンドだが、今作は母親の存在のせいで自分簡単に見つかっちゃってるし、全く義体やゴーストの件で悩んでいないし(少し記憶がどうのこうのはある)、ネットというテーマもないし、無機質なものと融合してネクストレベルというのもない。ゴーストインザシェルの大事な要素はなにもないサイバーパンクの表面だけなぞっただけ。え?2時間じゃむり?いやいや原作はできていたがな。その分初見でわかりにくい部分はあったけどこの体たらくだったらそっちのほうがマシ。ましてや当時と違いワールドフェイマスな原作が今はある状況なんだからだれしもが理解できる下地はあるのに。
上記のテーマ性を全部そぎ落としたものは攻殻機動隊でもなんでもないしゴーストインザシェルでもないただのサイバーパンクのできそこない。
クゼと融合エンドならまあそもそも人形遣いとは違う存在なので原作そのままってわけでもないしそれでよかった。
あ、あと自分みつけちゃったエンドなので敵の企業をあっさりつぶしてオチつけてるのも最悪。
原作は公安6課が敵なので国家そのものが相手だからそもそも勝つとか負けるとかですらないもっと深いものであるわけで。
とにかく全てにおいて内容が浅いです。わかりやすいとかそういう次元じゃないので誰に対してもお勧めできない。まあビジュアル面だけ見て楽しめる人はまあいいかもね。