素晴らしきかな、人生のレビュー・感想・評価
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目頭が熱くなる
学生である僕は、子を失った親という立場は程遠いが、凄く感情移入できた。人生の中心であった存在が突然いなくなった時の苦しみ。そしてそこから続く空虚な人生。そんな主人公の苦しみと孤独を強く感じさせられた。主人公を取り巻く登場人物にもそれぞれの問題がある。「時間」、「愛」、「死」。生きるといううえで、誰しもが一度はぶち当たる問題だ。それぞれの問題を通して伝えられる三つのテーマは哲学的でもあり、考えさせられるものだった。
人生のどん底にいても、幸せを見つける大切さと、周りの人間と繋がる大切さを学べた。
ヘレン・ミレンの表す「死」はとても印象的だった。
キーラ・ナイトレイの表情から伝えられる「愛」という概念も素晴らしかった。
幸せのおまけ
ドストエフスキーの「白痴」を思い出した。ストーリー的にはまったく重なるところはないが、主人公同士が似ている気がする。それは、せわしない現実世界にたいするアンチテーゼみたいな存在という位相だと思う。
ウィル・スミスは前回の「コンカッション」の演技もとてもよく、今回の演技も気合が入っていた。もともと感情表現の豊かな俳優で、アクション映画よりも文学作品の方が向いていると思っていた。能天気なアクションヒーローはトム・クルーズに任せておけばよい。
さて、主人公は娘を亡くし、妻とも離婚して、人生のすべてにやる気をなくしてしまう。普通の勤め人なら本人だけの問題で、周囲に与える影響は少ないが、成功した会社の創業者でオーナー社長であることから、悲嘆に暮れ続ける主人公の状態が現実世界の経済的問題を直撃する。
類型的な主人公であれば、現実と自分自身の双方に対して少しずつ折り合いをつけながら、不本意な人生を平凡に歩むことになるが、物語は典型を要求し、主人公はただひたすら娘の死を嘆き悲しむことになる。この無理やりな設定を、ウィル・スミスが力わざで演じていて、しかも成功している。ヒュー・ジャックマンやジョニー・デップでは演じきれなかったであろう純粋な悲哀を、臆せずに直球で投げかけるところに、この俳優の演技の凄みがある。
ストーリーはファンタジーだが、ヘレン・ミレンが変幻自在な演技でクリスマスの贈物ともいえる作品に昇華した。この年配の女優は「マダム・マロリー」の誇り高いレストラン経営者から、「トランボ」の底意地の悪い老婆まで、見事に演じ分ける。
部下の役のケイト・ウィンスレットは「愛を読むひと」で彼女の人生最高の演技を見せたが、この作品でも現代的な女性の優しさを上手に表現している。ニューヨークのキャリアウーマンもただ利益だけを追求するための存在ではないという面を見せることで、たくさんの共感を得ることができたのではないかと思う。
総合的に評すると、ストーリーは単純なのに展開は強引で、無理やりファンタジーに仕上げたような映画だが、ひとつひとつのシーンが丁寧に作られ、役者陣の渾身の演技が加わって、感動的な作品に仕上がっているといえる。
この映画は往年の名画「素晴らしき哉、人生!」(原題「It's a Wonderful Life」)のリメイクで、クリスマスのニューヨークを舞台にしたファンタジーである。配給会社が同じ邦題をつけたくなった気持ちもわかる。しかし制作者が原題を「Collateral Beauty」と変えたのだから、配給会社による邦題も違うものにしてほしかった。
「Collateral Beauty」という言葉は作品中にも台詞として出てきていて、「幸せのおまけ」と訳していた。「Collateral」は翻訳に苦労する言葉であることは確かで、それなりにいい翻訳だと思う。邦題もそのまま「幸せのおまけ」でよかったのではないか。
余談だが「Collateral」には広告に使う媒体という意味合いもある。そして主人公の会社は広告代理店だ。言葉の多義性を上手に活用した洒落た伏線である。
もう一つかな
震えるほど泣いた
副次
彼らに聞きたい事が聞けたなら
娘の死で抜け殻になった男が憎むべき者との対話を通じ前に進む話
全く期待していなかったのだが、鑑賞中、泣きそうになった。
ただの俳優陣が豪華なお涙ちょうだい作品かと思いきや、なかなかどうして
深く心にしみた。
ウィル・スミスのイケイケからの悲壮感たっぷりの落差、何回見ただろう。
はっきり言って見飽きた感が否めないが、それでも苦悩、怒り、悲しみを乗り越える演技は素晴らしかった。
主人公の憎む「愛」「時間」「死」を友人達が役者を雇って演じさせる。
いつの間にか友人達と役者達がペアになり自分を見つめなおす展開が秀逸だ。
「愛」「時間」「死」それらを擬人化させるのはなかなか面白い発想だと思う。
誰もが欲するし、話が聞けるなら聞いてみたい。興味深い話が聞けそうだ。
クリスマスキャロル的な要素を現代に置き換えたような作品でなんとも普遍的な
良作感が否めないが、現代人にはなじみ易いように思える。
3つのテーマで悩んでいる人は鑑賞後、少なからず勇気がもらえるのではないだろうか。
劇中セリフより
「時間ならたっぷりある、感謝しろ」
24時間の概念は人間にしか通用しない
時間の制約の中で生きている人間には24時間は意味が有る。
使い方しだいで、増えるし減る。
最近、時間が足りないと思い始めていたが、考えを改めようと思った。
一日を長くしていきたいと思った。
大人向けファンタジー…なのかな
クリスマスに訪れる奇跡の物語
ニューヨークで広告代理店を経営しているハワード(ウィル・スミス)。
彼は2年前に6歳の愛娘をなくしてから、まるで腑抜け状態。
妻とも別れ、誰にも心を開かず、ドミノを並べては倒すだけの毎日。
会社の経営は不振になり、もう身売りしか道がない。
友人で共同経営者のホイット(エドワード・ノートン)は会社の身売りを決意するが、ハワードは彼と話そうともしない。
そこでホイットは、ハワードに経営能力なし、と取締役会で承認させるため、一計を案じた・・・
というところから始まる物語は、失意のハワードが「愛」「時間」「死」に宛てて書いた手紙を利用して、3人の俳優たちに「愛」「時間」「死」を演じさせ、あたかもハワードだけに3人が見えているように仕向ける。
ほほぉ、ディケンズの『クリスマス・キャロル』の変型ではありますまいか。
原本では、偏屈な爺さんスクルージの前に3人のゴーストが現れ、爺さんが改心するという設定だが、それをそのまま現代に移し替えても上手くいかないのは、過去の映画化作品『3人のゴースト』でもわかっている。
なので、今回は、愛娘をなくした父親という、感情移入しやすい設定にしたというわけ。
映画は、さらに工夫を凝らしており、3人の俳優にはそれぞれパートナーがいて、彼らは皆ハワードの友人であり、かつ、友人たちは俳優たちが演じる「愛」「時間」「死」の問題を抱えている。
具体的には、
愛=(俳優)キーラ・ナイトレイ=(友人)エドワード・ノートン、
時間=(俳優)ジェイコブ・ラティモア=(友人)ケイト・ウィンスレット、
死=(俳優)ヘレン・ミレン=(友人)マイケル・ペーニャ
という組み合わせ。
この友人たちも俳優たちとかかわることで自身の問題を解決していく。
ということで、再生の物語が二重三重に用意されている。
そして、それだけでなく、物語の中心であるウィル・スミスの再生の物語にも驚くべき真実があり、彼が娘の名前を口にするシーンは、図らずも落涙してしまった。
俳優陣は皆好調で、特にヘレン・ミレンとナオミ・ハリスが良い。
フランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』とはまるで異なるが、「クリスマスに訪れる奇跡の物語」という点では同じ。
なので、この日本版タイトルにしたのだろう。
原題は「COLLATERAL BEAUTY」。
付随的な美しさ、の意味だが、劇中では「幸せのオマケ」と訳されていました。
どん底からの救い
Filmarksの試写会に当選し、鑑賞して来ました。最愛の娘を病気で亡くしたハワードは、深い喪失感から仕事も自分にも無気力になってしまう。ハワードを心配した同僚が、3人の舞台俳優にある依頼をする事から物語が始まります。3人の舞台俳優はそれぞれ『愛』『時間』『死』をそれぞれ演じるのですが、さすが舞台俳優だけあって迫真の演技でした。自分が人生のどん底に居る時に、あんなに心配してくれる人が周りにいるって心強いなぁと思いました。同僚3人はハワードを励ましながら自分の悩みにも直面しているのですが、これも舞台俳優と出会った事で道が開けるのも、人の力って大きいなと。最後は驚きの展開も?!NYが舞台なので風景も、特に夜景が綺麗です。キャストのファッションにも注目の作品です。
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