「悪い映画とは思はないが私には辛い映画」素晴らしきかな、人生 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
悪い映画とは思はないが私には辛い映画
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愛娘の死から立ち直れず殻に籠ってしまった主人公を経営から外そうとする仲間たち、悲しみの重みは違っても背負っているものは皆辛そうだ。ファーストマンのアームストロング船長も愛娘の死を背負った悲劇の冒険者だった。立ち直るきっかけは人それぞれだろうし、一生泣いて暮らす親もいるだろう。4つ上の姉がいたが事故で死んだ、両親は死のうと思ったそうだ、母は「親孝行なんて考えなくていい、子供は3歳までで一生分の親孝行をしてくれた」と私によく言っていた。
人生を愛・時間・死に象徴し哲学的に時に戯曲のように擬人化して語るが終始主人公の辛さが通奏低音のように尾を引くからまるで疑似体験させられているようで辛くなる、正直、映画でまで味わいたくないテーマである。冷静に観ることができる人はある意味不幸とは距離がおける所にいるのだろう。ウィル・スミスというといつも笑顔でジョークを言っているようなイメージがあったが真逆の暗さは頭が混乱する、ヘレン・ミレンさんは例によってなんでもこなす名優、下手をすればコントになりそうなプロットをうまく騙してくれているから貴重な存在だ。悪い映画とは思はないが私には辛い映画なので星は暗い。原題の”Collateral Beauty”は字幕では「幸せのおまけ」と訳していたが難解だ、しかし邦題の陳腐さは何なのだろう、あの名作をパクリたかったのだろうか、こういう下品な配給会社のやり口は毎度のことながら辟易だ。
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