「久しぶりにみた文学的映画」素晴らしきかな、人生 すのうまるさんの映画レビュー(感想・評価)
久しぶりにみた文学的映画
物語としては、とある核家族の一人娘が6歳でなくなり
深淵のような深い悲しみに直面した父親が、愛と時間と死をなぞっていく話。
娘が残してくれた幸せのオマケによって。
おそらくストーリーだけを追うだけでは、この作品の真髄は分からないだろうなあ..
◯時間の象徴の台詞
「時間なんて、人間が勝手に決めた概念さ」
たった6年しか生きられなかった娘の命を
短いだなんて決めつけては不可ないよね。
彼女の100%生きた人生を、概念的なものから短いと言っては不可ない。
家族だからわかるであろう、娘の命の重さと、その尊さを。
◯愛の象徴の台詞
「私はいるわ。その痛みの中にも」
悲しみに包まれていると、迷子になってしまうのが人間。
孤独になり、寂しくなり、全てを無くしたように感じる。
ただ、愛という前提があるから、悲しみを感じられることに気がついてほしいんだよね。
これはかなり、文学的な哲学。
◯死の象徴の台詞
「いざとなれば、私が愛の役もやるわ」
この台詞を聞いた時に、ハッとして閲覧者がいたらぜひ友達になりたい。
これが一番効いてる台詞だと思う。
死が訪れることで、愛の所在を知る。
どれだけ愛おしい存在だったか。
どれだけ大切な存在であったか。
ぜひ文学的な目線で見てほしい。
クライマックスの涙は、死の中の愛に気がついてしまったからなんだろうなあ。
なんとも好きなのは、後半のシーン。
ハワードが、時間 死 に対して怒号し、去るシーンがある。
次に愛に対しては、すがるように怒り、愛の方から離れてしまうシーンがあるんですが、これがいい。
人間は、時間や死に対しては、自ら立ち去ってしまうのに
愛の場合は、あちらから去って行ってしまうという切なさが本当に印象深い。
あのシーンは、映像化した価値がありますな。だいすき。