「隠れた傑作。本作は予告編など事前情報無しでの鑑賞をお勧めします。」トマホーク ガンマンvs食人族 レントさんの映画レビュー(感想・評価)
隠れた傑作。本作は予告編など事前情報無しでの鑑賞をお勧めします。
風変わりなオフビート西部劇というべきか。とにかく本作はジャンル分けがしづらい作品だし、意図的にそのように作られている。だからこそストーリーは先が読めない展開で鑑賞中存分に楽しめた。
ただ、この監督の独特な語り口にはまらない人には退屈に感じるかも。
邦題の副題はネタバレでホントにひどいが、それでも作品全体の落ち着いたトーンから鑑賞中どんな展開になるのか全く想像できず、その分クライマックスの怒涛の展開がより盛り上がった。
誰でも警告なしに撃ちまくる危ない気取ったやつとか、意味があるのかないのかわからない間の抜けた会話を続ける保安官助手など癖のある登場人物たち。そして邦題からは想像もできない落ち着いた作品全体のトーン。それらが合わさって観る者を想像がつかないところにまで連れて行ってくれる。これこそが映画を見る醍醐味。
正直、配信で何気なくB級映画でも気軽に見るかというノリで見始めたらとんでもない映画だった。なぜこんな作品が今までまったく話題になってなかったのかわからない。しかしそのおかげで嬉しいサプライズの映画体験ができた。
たまにこういう作品に出くわすから映画鑑賞はやめられない。前にキャスティングは無駄に豪華な「カウボーイ&エイリアン」という駄作があったけど本作はあの作品の十倍は面白い。
劇中とりとめもない会話劇が繰り広げられる辺りはタランティーノの影響だろうか。入浴しながらどうやって読書をするかとか、自分達が捕らえられて死の淵に立たされてるのに蚤のサーカスの話をしたりと、どこか間が抜けていておかしい、と同時にスリリングな足の切断手術やリアルなゴア描写があったりと、その落差にはずいぶん驚かされた。
原住民の描写ももはやあれはギャグでしかないから差別的と騒がれるようなものではないだろう。というかあれはどう見てもプレデター。
ただネイティブアメリカンの中には敵部族の人間を食べる風習は実際にあったらしい。後、劇中の食人族集落の女性の描写は確かにやばい。あれは女性を繫殖のための物としか見ていない。実際にあったことなのだろうか。あのシーンが本作で一番衝撃的だったかも。