「凄まじかった」わたしたち ツネさんの映画レビュー(感想・評価)
凄まじかった
・とにかく観ていて痛々しい感情がリアルな描き方で凄まじかった。鑑賞した作品を振り替えるといじめっこのグループの役割が決まっているのを観て、あぁ世界共通の物、人間らしさなのかぁって思えて来て、苦しくなる。それが子供だと感情に素直に生きているように見えてきて、いじめをする事はそういうものなんだと強く感じられてきて余計にしんどい。
・主人公は10歳の女の子で自分とは縁遠い存在だけど、何だか同じような痛みを感じてきて凄いなぁと思った。年齢的には父親に近いけど、何故か主人公の年頃の記憶に自分が戻って、もどかしくなる感情になるシーンの連なりが凄い。ボラと仲良くしてほしくないシーンやジアとソンに溝ができているけど親やおばあちゃんには仲良しの二人としているズレとか見ていて苦しかった。
・ソンは皆と仲良くなりたいけど受け入れられない理由がわからない感じが痛々しくなる。仲良くならなくとも普通に接してほしいというあの感じ。自分と重ねて観続けていると見るのをやめたくなるけどやめるのも怖くなる。夏休み明け前がとにかく怖かった。結果、ボラと仲良くしてソンとの関係はなかったことにしようとしているジアの感じ、とてもつらくなった。
・ボラは典型的なマウントを取ってくる嫌な奴でどうにか地の底に落ちないかなぁと思えてたまらなくなった。冒頭の別の住所教えたりして。途中、成績の結果か何かで泣いていてソンが渡したハンカチのお返しのマニキュアは何だったんだろうと思った。弱っている状態だったからだろうか、それにしては借りたものだから返すよって言って無責任で凄く嫌な奴だと思った。やっぱり地獄に落ちてほしくなってくる。
・いじめられっこのソンがとても良い子だけど痛々しさも合わせて持っていて、気の弱さがじれったくてたまらない。映画とは思えない、ドキュメントのような感覚になってきて凄かった。
・最後に、ジアと取っ組み合いになったのが苦しかった。ボラたちに一発殴ってやりたかったけど、実際にはああいうのはそうならないだろう。そして、いじめられっこ同士がもめるのが切ない。とにかく怖くて寂しい感情が蘇ってくるすさまじい映画だった。