「《幸せ》ってなんだろうね --- 言ってしまえばなんてことない話。...」オリ・マキの人生で最も幸せな日 とーりさんの映画レビュー(感想・評価)
《幸せ》ってなんだろうね --- 言ってしまえばなんてことない話。...
《幸せ》ってなんだろうね --- 言ってしまえばなんてことない話。なのだけど好き。射し込む光、煙草の煙そして水切り、様々なものをこの上なく愛しく思わせてくれる美しい撮影で綴られるのは、1962年ボクシングの世界チャンピオンというタイトル戦に挑む一人のボクサーの葛藤・揺らぎ。60キロちょっとから57キロまで2週間で減量しなければいけないのに、そこには《恋煩い》や信頼しきれないマネージャー、記録映画の撮影隊と騒がしい周り。様々な障壁が集中を妨げる。そして最後に訪れるのは、無理なく非常に地に足着いた形でのタイトルの意味。フィンランド語なんて分かりっこないけど、少なくとも主人公オリ・マキ役は良かった。人間の根本に訴えかけてくる共通性がある、語弊を恐れずに言ってしまえば国民的英雄の彼も普通の人間。自己実現や夢の達成は時に思ったような結果にならないこともあるけど、忙しない日常の中で見失いかけていた本当に大切なものってなんだろう。何気なくてもかけがえのない愛しい瞬間。映像はモノクロでもシンプルだからこその味わい深さに彩られている。幸せ --- 少なくともそれは周りにああだこうだと決めつけられるものではない、それだけは言える。
幸せになりたいっすね〜
P.S. 原題に忠実な邦題よくやった!
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