劇場公開日 2017年6月3日

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「酩酊する演技の難しさよ」武曲 MUKOKU だいきつさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0酩酊する演技の難しさよ

2017年6月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

前回の河瀬直美監督の「光」に続いて
「喪失からの再生」をテーマにした本作。

「怒り」で見事に
ゲイの役を演じていた綾野剛が
どういったカメレオンぶりを発揮するのか。
楽しみにしていたのだが。

うーん。頑張っていたと思うが
新たな綾野剛を発見!とまではいかなかった

「悲しい過去→酒→自暴自棄」の
不幸スパイラルはこの手の映画では
いわば、ありがちな設定。

となるとその挫折っぷりが
どれだけ共感を呼べるかに尽きるのだが。

つくづく「酩酊する演技の難しさ」を感じた。
そこが白々しいと人生の喪失に
説得力がなくなるから。

前田のあっちゃん。
シーンが少ない割に爪痕は残せてたかな。
なかなかの汚れ役。でもやっぱりまだ、
「元AKB」という定冠詞がつく。

柄本明。さすがの柄本明。
年とともにしゃがれてきたあの声がいい。
志村けんとコントをやってたかと思えが
深みのある渋い演技もできる。
貴重な役者さんだなと思った。

小林薫。かっこいいです。
いい俳優さんなのに。
ダメな父親になっていくまでの
見せ方が弱かったかな。
これは演出の塩梅。

今回の映画の一番の「めっけもん」は
村上虹郎。
ほとんど知らなかったが
UAの息子さんやねんね。
みずみずしい演技というか
ほとばしる演技というか。
それが主人公と合致して
妙に説得力があった。

昔見た「GO」で初めて
窪塚洋介を見つけた時と
同じような感覚。

なんか「惜しい」映画だった。

だいきつ