「知らない世界を知る、それが映画!」サーミの血 Ishikawa Peroさんの映画レビュー(感想・評価)
知らない世界を知る、それが映画!
映画評論家の町山智弘さんや、社会学者の宮台真司さんなど良い、良いと言っているのは聞いていたけれど、重そうで二の足を踏んでいた「サーミの血」。
良かった。
家で見ると散漫になってトイレに行ったり、お茶入れたりしてしまうんだが、見始めたら立てなくなってしまった。
スウェーデンの少数民族、サーミ人の少女エレ・マニャは1930年代にサーミ語を禁じられた寄宿学校に入っていた。
教育の名の下に研究材料にされたり、スウェーデン人からの差別に晒されて生きていた。
寄宿舎から抜け出した彼女に何が起こるのか…
サーミ人、は昔ラップランド(今では差別用語)と呼ばれる土地に住んでいた。
ラップランドと言われると、大島弓子の「いちご物語」でイノセントな存在として描かれていたのを思い出す。
大島弓子は牧歌的な少女漫画世界の中に、文化の違いの歪みを描いた。
けれど、この映画はもっとヒリヒリとした産毛が逆立つような無意識の差別の嫌さを描いている。
かと言ってサーミ人がイノセントに描かれているかと言うと彼等も自分達の様式美に囚われている。
その中でエレ・マニャは1人の人間として認められたいと静かに、けれど強い意志で逆風に立ち向かう。
全く馴染みの無い土地、知らない言語、知らないけれど普遍的で凡庸な差別、それを教えて体験させてくれる。
久しぶりに映画的な感動のある映画だった。
ちなみに町山さん情報によると「アナと雪の女王2」はサーミ人をモデルに作った映画らしい。
#サーミの血 #ペロの映画狂人日記
コメントする