劇場公開日 2017年5月13日

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「小説的な内容に賛否はあるか。前知識必須の青春ミステリー!!」サクラダリセット 後篇 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0小説的な内容に賛否はあるか。前知識必須の青春ミステリー!!

2017年5月26日
PCから投稿

悲しい

知的

難しい

【賛否両論チェック】
賛:能力を消し去ろうとする権力者と、それに抗おうとする主人公の戦いに、不思議とハラハラさせられる。主人公を取り巻く静かな恋模様にも、切なさが残る。
否:前作の知識は必須。そもそもの設定がかなり強引なほか、セリフ等もかなり小説チックなので、好き嫌いは分かれそう。

 一応冒頭であらすじは説明してくれますが、前編で出てきた登場人物や事件がかなり重要になってくるので、やはり前作の知識は必須です。能力者同士の対立が鮮明に出ていた前編とは打って変わって、今回は能力者を排除しようとする権力者と、そのやり方に異を唱える主人公とのにらみ合いの構図が、静かな中にも緊張感たっぷりに描かれていきます。
 そしてもう1つ、どこまでも真っ直ぐなケイに心惹かれる美空や、死んでからもずっとケイの心に残り続けていた菫と、ケイを取り巻く複雑な淡い恋模様も、甘酸っぱさ満点で魅力的です。
 その一方で、設定や展開、セリフの言い回しなんかはかなり小説チックで、好き嫌いは分かれそうなところです。特にラストの「カルネアデスの板」に関する禅問答のようなシーンは、かなり難解というか説教臭い感じで、賛否もありそうです。
 とはいうものの、意表を突くケイの作戦には驚かされます。難しくも儚い青春ミステリーを、是非ご覧になってみて下さい。

映画コーディネーター・門倉カド