「田舎町と文化とは」笑う故郷 rockoさんの映画レビュー(感想・評価)
田舎町と文化とは
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前半はほのぼの路線。故郷の人々の貧しくも暖かいモテなしに、こちらも日本を離れて15年の身として、それだけで結構ウルッとした。市民美術展の審査で地元の権力者とひと悶着あり、その後色々とありながらもなんとか乗り切っていくのかと思いきや、まさかのラストで度肝を抜かれました。
美術展の開会式で、文化とは何かということについての意見を述べるんですが、その洞察がすごい。当方も美術制作を行っているので、文化政策についてモヤモヤとすることが多いのですが、核心をついた内容が心に突き刺さります。
文化とはそもそも人が住む場所には自然に存在するのだ。それを保護やプロモーションだということを言い始めると、事がおかしくなる。文化政策は100%経済的な利益が目的である。と、大学の先生が言っていましたが、結局はそこにしがみつく自治体や政治家、住民、作家が作り上げる共同体に過ぎないのかもしれません。
もちろんそんなに事は単純ではなくて、ハイアートはそもそもそういったポピュラーな表現との垣根を作ることで成り立っていて、多くの主知主義的な生産物はそこから排出される分けですから、一概に文化政策を否定することはできないんですが。
出身地の田舎の文化イベントや現在住んでいる街のことを考えると、全然笑えない、非常に恐ろしい内容で、考えさせられました。
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