「ただただまっすぐだけど嫌じゃない。」オリーブの樹は呼んでいる バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
ただただまっすぐだけど嫌じゃない。
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『わたしは、ダニエル・ブレイク』の脚本家で、監督がその妻で『エル・スール』の子役だったイシアル・ボジャイン。その組み合わせに興味が湧いて観た。
物語もテーマも非常にシンプル。現代に生きるわれわれは自然と共生できるのか? ただし、土地に根差して質素に生きるか、開発によって富を選ぶかではなく、どっちを選んだところで貧困が待っているのが非常に現代的だ。
ただテーマを掘り下げる点ではちょっと食い足りない。しかも当初の脚本では無事に樹を取り返すラストだったらしく、監督の娘が「ありがちすぎる」と言ったことで完成品のラストに至ったとか。まったくもって正解だったと思う。
ケン・ローチ映画のような凄味には届いてはいないが、この映画の真っ直ぐさを嫌いになれない。深くはないが清々しい。そして人を動かすのは、したり顔の正論より愚直で真っ直ぐな思いだったりするのを、歳を重ねるにつれ痛いほどい思い知るのである。
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