「頑張って探して見つけた方が嬉しいでしょ?」君の膵臓をたべたい(2017) Harrowキテェイさんの映画レビュー(感想・評価)
頑張って探して見つけた方が嬉しいでしょ?
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冒頭で桜良が「宝探し」という言葉を口にするけれども、この作品における「宝探し」はただの宝探しではない。何せ12年越しの「宝探し」なのだから。
そして探すものはいうまでもなく桜良の遺書である。
では、なぜ見つけるまでに12年もかかったのか?
それは桜良が予期せぬタイミングで死んだからである。ヒントの1つや2つくらい春樹に教えてあげるつもりだったのだろうけど、通り魔男のせいで実現しなかった。
だが、遺書は見つかった。図書館の書庫にあった。
それは偶然だろうか?運命だろうか?
「いや、ぜんぶ春樹が選択してきたことだよ」桜良ならきっとそう言って笑うだろう。まさにその通りだ。
桜良の家で『星の王子様』を手に取ったこと。教師になったこと。図書の整理を引き受けたこと。あの男子生徒と知り合ったこと。共病文庫を読み返したこと。恭子の結婚式への参加を渋ったこと。
12年にも及ぶ春樹の行なったすべての選択が「宝探し」につながったのである。
一見すると、「今を大切に、後悔しないように生きる」ということがこの作品の肝であるかのように思えるが、実際のところ人生はそう上手くいくものではない。後悔なんて山ほどする。
だけど、私たちは自分の【選択】がいつか何らかの意味を持つだろうと信じてただ生きるしかない。
(remブラントさんのレビューや解釈を引用・参考とさせていただきました。)
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ヤスさんのコメント
2017年10月8日
そう思うんです。後悔しないように生きるというよりも、自分の選択の結果の今を生きるという解釈が、しっくりきました。自分なりに気持ちを言語化できました。ありがとうございます。