LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門のレビュー・感想・評価
全4件を表示
試し斬りからの真剣。ここに、斬る!
『ルパン三世』スピンオフシリーズ第3弾。
不二子、次元と来れば勿論、
今回のメインは、孤高の剣豪、現代の侍、石川五エ門!
本作もルパンたちが“出会った頃”。
ルパンと次元は前作で晴れてバディとなったが、五エ門とはまだ仲間ではない。
剣の腕を買われ、やくざの組長の用心棒に雇われた五エ門。
組長からは信頼されているが、その不遜な態度から子分たちには厄介者扱いされている。
すっかり定着した五エ門のイメージは、寡黙だが、斬鉄剣LOVEで、時々コミカルな一面も。何でも斬り、お馴染みの台詞。
が、本作ではだいぶ雰囲気違う。
…否。これが本来の五エ門なのだ。
TVアニメ第1シリーズ初登場時の五エ門は、嫌味なくらいの自信家で、ニヒル。侍というより、剣術殺し屋。
昨今の愛されキャラとなった五エ門も嫌いじゃないが、時々マンネリ化と敢えて狙ったかのようなコミカル一面が、個人的にコレジャナイ感も。
なので、危険さ孕む本作の五エ門は、刺激的で新鮮。
凄腕の剣豪になる前の、まだまだ未熟者。五エ門が“真剣”を抜くまでが描かれる。
用心棒として雇われ、やくざの賭博船に。
大金を狙い、ルパンと次元、いち早く不二子も乗船していた。
突然、船が爆破。機関室で、謎の大男が巨大な斧を振り回していた。
五エ門は一戦交えるも、ルパンたちが逃げ出すのを見ると、大男も後を追うように退散。
この爆破で、組長が死亡。葬儀で若や子分らに罵られた五エ門は復讐を誓う。
前作同様、本作にも強敵が立ち塞がる。
初登場シーンは、駆け寄ってきた女の子を抱き上げ、優しい笑顔を見せる。
が、次の登場シーンでは、斧を振り回して船を壊す、バケモノか怪獣のよう。
“ホーク”と呼ばれているが、本名不明。またの名を、“バミューダの亡霊”。
元軍人。戦争で2000人を殺し、バミューダ海域で死んだとされていたが…、
各国の諜報情報により、生存が噂されていた。
“誰か”からの命令で、殺し…いや彼曰く、“肥料”“土に還れ”“伐採”。
武器は二つの巨大斧。それを人間離れのモンスター級の怪力で振り回す。
超大食い。そして、とにかくその怪力、タフさ。
ダメージも一切受けてないようだし、スタミナ知らずのようだし、崖から落ちても死なない。
本当に人間…?
前作のヤエル奥崎も強敵だったが、今回も。
圧倒的迫力と力、脅威では上回る。
そんなホークをマークするは、お馴染みのとっつぁん。
公安の銭形。
…アレ? ICPOじゃないの…? 本作では公安キャラとして登場。
銭形も最近はすっかりコミカルキャラが定着。
「ルパ~ン!」と手錠を振り回し、ルパンには振り回され、お間抜けズッコケ担当。
五エ門同様、マンネリ化に飽き飽きしていた。
本当のとっつぁんはこんなんじゃない。“デキるキレ者”なのだ。
お間抜けさは一切ナシ。一貫して、渋くてカッコいい大人の男。勿論警察官として、熱い正義感。
コミカルなとっつぁんも好きだけど、こんなとっつぁんも好き。
と言うか、こんなとっつぁんが見たかった。ルパン・ファミリーではとっつぁんが一番好きなので。
(このスピンオフシリーズ、TVアニメの不二子→映画の次元→映画の五エ門、映画の不二子と続くが、何でとっつぁんは無いの~??)
ルパンたちがアジトで祝杯と上げていると、バイクにまたがったホークが“飛んで”乱入。
逃げるルパンたちを執拗に追うホーク。
そう。ホークが依頼された今回のターゲットが、ルパンと次元と不二子なのだ。
追い詰められるも、五エ門が現れる。
第二戦。
今回はホークの圧勝。五エ門の剣を指で“真剣白刃取り”し、怪力で投げ飛ばす。
そこへ銭形が現れ、一瞬の隙を付いてルパンたちは逃げる。
ホークはあっさりと逮捕。
…ではなく、留置所で“仮眠”を取り、脱獄。再びルパンたちを追う。
ホークに敗れた五エ門は自身を失っていた。
抜け殻状態になり、剣すら抜けなくなっていた。
心身を極限までに追い込む修行をするも、“見えない”。
痺れを切らした組長息子や子分らからリンチ。
その時…、見えた!
全員を目にも止まらぬ剣捌きで斬り、決着に向かう。
ホークの情報を得る為、一時的に銭形に自首したルパン。
そこを、ホークが急襲。
銭形は負傷。山奥の寺院に逃げ込んだルパンと次元も負傷。
またもや追い詰められた。
五エ門が静かに現れる。
今度は決着が付く。見守るルパンと次元。
やはり力では圧倒的にホーク。振り下ろした斧が、五エ門の腕を斬り削ぐ。
と同時に、五エ門の剣がホークの腕を斬っていた。
片腕となったホーク。今一度斧で斬り掛かろうとするが…、五エ門が放つ“気”に圧倒され、恐怖のイメージにより完敗。
断ち斬り、抜いた“真剣”。
武士としての悟りを開いた。
とにかく衝撃なのは、自分がこれまで見たきた中ではダントツのバイオレンス描写ルパン。
五エ門のやくざ50人斬り。血が吹き散り、手首も飛ぶ。
クライマックスでは、ホークに追い詰められたルパンは腕に木片が突き刺さり、次元は頭から血が。
強烈なのは、ホークの斧で五エ門の腕が斬り削がれる!
アニメとは言え、PG12。(って言うか、よくPG12で済んだもんだ…)
グロく、痛々しい。これがもし、実写だったら…?
『ルパン三世』=ファミリーでも見れるエンタメ・アニメ…と思い込んでる層や若者が見たら、衝撃を受けるだろう。
五エ門がメインという事もあってか、舞台は日本。
序盤の賭博船はやくざ映画の赴き。
五エ門の修行や覚醒は、しっかりとした侍/武士道精神。
前作も良かったが、個人的には本作の方が好きかも。
ラストシーンは、前作では未登場だった五エ門と銭形の、珍しい対決で締め括り。
心憎い演出。
剣豪、そして現代の侍、ここに斬る!
もしかして聖●士?
なかなかビターな作品に仕上がっている。ただ、鳳凰幻魔拳と幻朧魔皇拳を必殺技にもっていくとこは、少年漫画的なのかなと(汗) とにかく、頭が吹っ飛ぶ、腕が脚がもぎれる、真骨頂は腕が剥がれて、解剖図みたいな状態になっていても、闘う。スプラッタ-ものとしての内容も驚きだ。斬鉄剣と斧が武器なだけに、まるで野菜を切るかの如く、獲物をさばくさばく・・・確かに、今までにないルパンシリーズではあるけど、厚みがない感じだなぁ。TVでやっていた峰不二子のパートの方が面白かったかな。
ただ、作画自体は漫画に似せてて良かったと思う。銭形の荒々しさはあの作画だからこそ映えるしね。
全4件を表示