「少女達のRPG」暗黒女子 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
少女達のRPG
面白い物語だった。
終始一貫した文化祭調のお芝居を除いては。
いや…この芝居のテイストも虚構である事の表現の一環なのかも。
統一された"お題"を渡され私的な小説を朗読という形で雷鳴轟く夜に発表する。
そのお題が、とある少女の死、である。
中々に衝撃的なお題だ。
各人の立場から、様々な事実が浮かび上がってくる。
都合の良い真実が。
あらゆる真実は嘘というエッセンスが加味され、非現実的な女子校という花園の中で空想と幻想をもって語られる。
誰1人、真実を話してないと分かった時から、可笑しくてしょうがなかった。
シチュエーションコメディを観ているようで、クソ真面目に先輩の死の真実を主張する少女達の内面を考えると…超一級な妄想力だ!!
先輩の死を僕ら観客は一旦受け入れはするのだが、その内疑問になる。
あの世代特有の極端な嗜好と妄想力が炸裂しまくってるだけなんじゃないのかと。
だが、物語は更なるどんでん返しを提供してくれるのだが…腑に落ちない設定や出来過ぎた小道具群のせいで、これまた創作の匂いが拭えない。
どこからどこまでが、小説の中の出来事なんだろうと、空想を巡らせながら観るのが凄く楽しかった。
ただ一つ真実があるとすれば…
「鍋パーティの余興に、部長が死んだってていで小説書いてこようよ、皆んなで。あ、飛び降りで鈴蘭を持ってたって事で。」
「いいねえっ、楽しそう!」
…これである。
あとは、なんていうか、各人の私的小説の中にも事実に基づくものは多少なりともあるはずなので、その辺りを上手に紡ぎ出し、作者が意図しない真実をでっち上げたりすんのも楽しいかと思った。
1人で観るよりはミステリー好きな誰かと見に行った方が、数倍面白く、この世界観を堪能できるんじゃないだろうか?
本年度の俺的脚本賞にノミネート!