劇場公開日 2017年2月10日

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「最善の選択とは・・・」マリアンヌ ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0最善の選択とは・・・

2017年2月18日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

「カサブランカ」「イングリッシュ・ペイシェント」など、クラシカルな正統派メロドラマの体裁をとりながらも、サスペンスフルな展開や戦争アクションをねじ込んでくるあたりに、職人監督ゼメキスの手腕が冴え渡る。

前半こそ単調な物語運びであるが、中盤から浮き上がる妻の二重スパイ容疑を巡り、疑惑と信頼の間で揺れ動く男の心情にひたすら胸が締め付けられてしまう。注意深く見ると、随所に登場するさりげない台詞や登場人物が後半への伏線となっているあたりが実に心憎い。どのような結末を迎えるのかは、物語運びから容易に見えてくるだろう。故に衝撃のラストなどという安い宣伝文句はこの作品には相応しくない。むしろラストが見えるからこそ、その結末に至るまでに主人公らがとる行動に涙を誘われるのだ。

全ての謎が明らかになった後で、登場人物はそれぞれの立場でそれぞれが最善と思える行動を取り始める。あの場面、あの状況でどのような選択をすれば良かったのだろうか?見る者によって、その答えは異なるであろうし、様々な捉え方ができるからこそ、映画の面白さがある。ブラッド・ピットの表情豊かな演技も心を打つが、それまで旦那目線で語られていた物語から、妻の視点に置き換わるラストシーンにマリアンヌの妻として、母としての愛の強さが見えた気がする。

Ao-aO