「舐めてた相手が超強い系ホームインベージョン映画」ドント・ブリーズ といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
舐めてた相手が超強い系ホームインベージョン映画
多くの映画レビュアーさんが絶賛している本作。大体のあらすじは知っている状態で鑑賞いたしました。評価の高い作品ですので、ハードルはかなり上がっていたと思います。
結論、面白かった!!!
盲目の老人が住む邸宅に押し入った3人組の強盗。完全に舐めていたその老人は、実はめちゃくちゃ強かった。突如として襲う側から襲われる側になった強盗たち。呼吸の音すら聞き取って攻撃してくる、文字通り息もできないような展開。最初から最後まで全く中だるみなく続く怒涛の展開。映画後半に明かされる老人の正体。たった88分とは思えないほどボリュームたっぷりの映画でした。
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妹と一緒に親元から離れるために金が必要なロッキー(ジェーン・レビ)は、恋人のマニー(ダニエル・ゾバット)と友人のアレックス(ディラン・ミネット)とともに、大金を持っているらしい盲目の退役軍人である老人(スティーブン・ラング)の邸宅に強盗に入る計画を立てていた。周到な計画を立てて老人宅に侵入したが、南京錠を破壊するためにマニーが放った銃声で老人に気付かれてしまう。声を頼りにマニーの位置を特定した老人は、盲目とは思えない機敏な動きと腕力であっという間にマニーを殺害してしまう。老人宅に閉じ込められたロッキーとアレックスは、老人が徘徊する邸宅から脱出することができるのか…。
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本作のような「ホームインベージョン映画」というのはもはや映画の一大ジャンルになっています。
「ホームインベージョン」とは、「家宅侵入」という意味です。「ホームアローン」シリーズが一番有名でしょうか。自宅に侵入してくる強盗を、小さな男の子があらゆるトラップを張り巡らせて撃退するという、腹抱えて笑えるコメディ映画の傑作です。また、「ファニーゲーム」という胸糞映画の代名詞みたいな映画もありますし、近年ではジョーダン・ピール監督の「Us(アス)」というホラーと社会派をブレンドしたようなホームインベージョン映画もあります。「ホームインベージョン映画」と一口に言っても、コメディから胸糞からホラーから社会派まで、実に幅広いテイストの映画を楽しめるジャンルですね。
本作「ドント・ブリーズ」は、ジャンルで言えばホラーでしょうか。老人にバレそうになりながら脱出を試みるのはホラーそのものです。ただ、ホラーのレベルで言えばそこまで怖いわけでもなく、多少の出血シーンや生理的嫌悪感を抱くようなシーンもありますが、ホラー苦手な私でも問題なく観れるくらいの内容でした。グロ描写はほとんど無いので、グロが苦手な人でも安心です。
本作は以前私もレビューを投稿した「サプライズ」という作品に近いように感じます。「サプライズ」は、家に押し入ってくる殺人犯たちを女子大生が逆に殺害していくというホラーとスラッシャーが混ざったような映画です。若くて美人な女子大生が実は訓練を積んだ殺人マシーンで、彼女を甘く見ていた殺人犯たちが次々殺されていく様子は爽快でした。
「サプライズ」では侵入者を返り討ちにする女子大生の視点で物語が進みますが、「ドント・ブリーズ」では盲目の老人に返り討ちにされる強盗の視点で物語が進むという違いがあります。サプライズは悪人に鉄槌を下す爽快感あるスラッシャーですが、ドント・ブリーズは突如として命を狙われる立場になるホラー。シチュエーションは同じなのに、二つの作品は全くテイストが違いますね。
てっきり「盲目の老人超強い」っていう一発ネタの映画かと思いきや、後半の衝撃的な展開とかラストシーンの後引くような恐怖とか、そういう全体のストーリーも良く練られていましたし、しっかり「盲目」という設定が恐怖演出として効果的に作用していたと感じます。
短く簡潔でしっかり怖くて面白い。とてもレベルの高い映画でした。オススメです!