「人生にリハーサルはないんだよ」榎田貿易堂 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
人生にリハーサルはないんだよ
軽妙なセリフのやりとりが続き、飄々とした榎田(渋川清彦)が巻き起こすコメディものかと思いきや、なんともソフトタッチな人情話だった。いい歳した大人が何人も集まってぐうたらに日銭を稼いでいるように見えて、あんがいと核心をつく金言をぽろっぽろっとこぼす。もしかしたら言ってる本人はその言葉の深さに気付かずにつぶやいているだけなのかも知れないような軽さで。考えようによっては、この店「榎田貿易堂」は、ちょっと人生につまずいている大人にとってのリハビリ施設の役割も担っているんだろうな。もちろん、榎田も集まってくる仲間もそんなことなんて考えてもいやしないが。
役者は、みんないい。渋川や滝藤はいつもの味を出しているし、森岡も伊藤も若いくせに安定感抜群の渋み。大作とはいえないけど、このクオリティの映画は邦画市場に欠かせないもの。いい仕事をした映画だと感じた。
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