「男性目線の、まがい物の群像劇」牝猫たち こと☆さんの映画レビュー(感想・評価)
男性目線の、まがい物の群像劇
見ていてもやもやする映画。デリヘルで働く、それぞれ違う悩みを抱く三人の女性を描く群像劇を作るつもりだろうが、誰の人生にも深入りできていない。
シングルマザー、ネカフェ難民、不妊症、浮気の夫、児童虐待、小説家志望者、引きこもり、独居老人、売れないお笑い芸人、緊縛やSM。色々な要素を取り入れているが、どれも活かし切れていないし、描き切れていない。それぞれ違う苦しみを抱いているように見えるが、どれも血肉を持たない、類型化された苦しみ。社会構造の問題や、人間の業など、深く掘り下げるような映画を期待していたが、期待はずれだった。
デリヘル嬢という社会的弱者を、暗い話としてではなく、コメディチックに描こうとする意図は、あるいは評価できるところかもしれないが、それも見方によっては大衆に媚びへつらう手法と捉えられる。良い題材なのに、非常に残念。
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