「ポルノじゃない。当面のアレ。」牝猫たち gomaoさんの映画レビュー(感想・評価)
ポルノじゃない。当面のアレ。
同じくリブート作品の「ジムノペディに乱れる」も観たが、それとは全く違っていた。
ジムノペディは、10分に1回の濡れ場を忠実に守っているなという印象を受けたし、女優さんは全員が全員、気後れするくらい綺麗な張りのある身体をしているし、濡れ場も見せ物としてしっかりしていてエロかった。ポルノを観たな、という実感があった。
対する牝猫たちは、濡れ場を濡れ場と思わせないような仕上がりになっていた。実際の身体は骨が浮いているし、セックス中冷めた視線が泳ぐこともあるし、単調だし、それでも女は演技を挟むし。
リアルな退屈さだった。
生活の一場面のセックスだった。
だからこそ、他のところに注目して観られた。
~~~
ひとつひとつの、人との関わり合いでの選択が、どこまで相手の人生に作用するかはわからない。
【貧困女子】
恋人同士じゃない、恋人になりたいのかもわからない。
それでも、お互いが必要だと思ったとき、
それに応えてくれる瞬間があったらいい。
外の空気に触れる機会ができた。
言葉で表せない気持ちを身体でぶつけてくれた、ってだけで次に進む糧になる。
【人妻】
憐れんで、なのかはわからないけど
相手に寄り添うような言動をとったことが発端ですごい事態に陥った。
(この人についての考察はあまり浮かんでこなかった。子供ができないくだりが本当なのかわからないし、純粋に性癖が元になって行動してたんじゃないかな。)
【シングルマザー】
青年が、正義感を振りかざして通報していたらどうなっていただろうか。
息子が虐待されなくて済む?
青年がくれたおもちゃの怪獣、
知らないおじさんとお母さんと3人で食べるハンバーグ、
お母さんが戻ってきてくれたこと
そんな断片のひとつひとつが息子の生きる励みになるんじゃないかな。
青年も、二言目には「パチンコ行こ」だ。
他人事はそんなもんだ。
ヤク中芸人と関わって更にひどい事態に…
なんてことも、考えられなくはないけど。
あれでよかったんじゃないかな、当面は。
~~~
最後、炎上デリヘルドライバーが貧困女子を迎えにきた。
来ても来なくても、さして状況は変わらない気がする。
けれど、『当面の』助けにはなる。
自分の一大決心が、大切だと確信できるような相手の決定的な助けになれたらそりゃ素敵だけれど、
ノリや思いつきの行動が、フワフワした関係の中で『当面の』助けになったらなったで、悪くない。
~~~
とろサーモンのネタが普通に面白くて笑えた。
とろサーモン村田と店長の別の濡れ場も見てみたいなーと思った。