「ネタバレなしで見るべし。」手紙は憶えている だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
ネタバレなしで見るべし。
ミステリーに疎いので、全然先を予想できずに見ていてまんまと、え??まじ???うそやん!!!、と、うなりました。
その驚きによってぶわっと好感度が増したわたくしでした。よって、ぜひとも未見の方はネタバレなしでご覧になられますように。
ホロコーストとナチスドイツとユダヤ人についての予備知識はあった方がいいと思います。
以下、結末を知っている体での感想です。
クリストファープラマー主演ね、ホロコーストものね、京都シネマ名画リレーにかかったんね、ほなみよかな。その程度の興味で見ました。東宝系のシネコンでかかっていた時はまったく気付かずのスルーでした。
「最愛の妻ルースが死んだ。だが、90歳のゼヴはそれすら覚えていられない程、もの忘れがひどくなった。ある日彼は友人のマックスから1通の手紙を託される。『覚えているか?ルース亡きあと誓ったことを。君が忘れても大丈夫なように、全てを手紙に書いた。その約束を果たしてほしい―』2人はアウシュヴィッツ収容所の生存者で、70年前に大切な家族をナチスの兵士に殺されていた。そしてその兵士は身分を偽り、今も生きているという。犯人の名は“ルディ・コランダー”。容疑者は4名まで絞り込まれていた。体が不自由なマックスに代わり、ゼヴはたった1人での復讐を決意し、託された手紙と、かすかな記憶だけを頼りに旅立つ。だが、彼を待ち受けていたのは人生を覆すほどの衝撃の真実だった―」
↑あらすじは上記の通り(公式HPより引用)
あらすじを信じ、フンフンなるほど、そっかつらいね大変だったねという感じで見進めていきました。
ゼヴは自分がユダヤ人でルディ・コランダーに家族を殺されたアウシュビッツの生き残りだと思っていたわけです。
当然観客も、家族もそう思っていたわけですよ。
なのに、実は認知症だからぜーーーーんぶ忘れていたけどゼヴこそがルディ・コランダーであり、マックスの家族を殺したナチス戦犯だったんです。
ゼヴ自身の復讐だったはずが、実はマックスによるゼヴことルディ・コランダーへの復讐だったわけです。
認知症って!!!恐ろしいです。
ナチスドイツの兵士だった自分が、殺したユダヤ人の身分を盗んで(囚人番号も腕に彫って)、同僚(この人が四人目の容疑者で)と共にアメリカに逃れた。その後、ユダヤ人として生き続けるうちに老いて、記憶があやふやになって、ついにはナチス兵士だったことを完全に忘れるにいたった。その事を覚えていた本物のユダヤ人マックスに復讐された。
最後に殺された元同僚とゼヴの子供たちのその後って、どんな感じなんだろうね。
自分自身もユダヤ人として育ったわけでしょ?きっと。少なくともゼヴの息子はユダヤ文化の中にいます。
そんな息子が、実は父は元ナチだったと知ったわけです。どんな気持ちでこれからを生きていくのかな。
マックスは容疑者の4人をどういう意図で選択したのでしょうね。
最後の1人はわかる。ルディ・コランダーと共に殺してしまいたかったのでしょうから。
最初の1人(元ナチ軍属・でもアウシュビッツにはいない)もわからなくはない。
3人め(本人死亡しており対応したのはネオナチの息子)も分からなくはない。
わからないのは2人目です。囚人にされていた同性愛者のドイツ系の人でしょ。この人にマックスはどういう意図をこめたのでしょう。
ゼヴを含めて4人とも元ルディ・コランダーだからってことでしょうか。
本命がゼヴって事以外は本当のことだけなのかもしれません。
電車で出会った男の子、病院で出会った女の子とのゼネレーションギャップ満載の交流が可愛らしかったです。
ミステリーの醍醐味なんでしょうね・・・こういうのがね。
ラストに若い頃のプラマーの写真が使われていてね、ああ、説得力!とか思いました。