「堂々たる大作」関ヶ原 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
堂々たる大作
こうした堂々たる大作映画を作る監督は、もう日本には原田眞人しかいなくなってしまった。観客に対して親切な作りではない。方言の訛もすごいし、一部には聞き取れないセリフもあるだろうし、関ヶ原の合戦に詳しくないものには、勢力図がわかりにくいかもしれない。しかし、逆に言うとこの映画は観客を子ども扱いすることをやめている。いくらかの教養がなくては楽しめない作品なのは確かだが、知識は人を豊かにするものだ。この映画は観客の教養を信頼している。
役者の芝居も素晴らしいし、映像も美しい。合戦シーンは美しさを追求するのではなく、血みどろの乱戦として描いたのも見事。
徳川家康役の役所広司の存在感は際立っていた。もはや日本映画史に残る名優となった言って差し支えない。
このような映画が大ヒットした事実は頼もしい。一から十まで説明してくれる映画ばかりが求められているのではないというのは、頼もしいことだ。原田監督にはこうした教養ある作品をこれからも作ってほしい。
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