「よく睡眠を取ってそれなりに歴史背景を知った上でご覧あれ」関ヶ原 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
よく睡眠を取ってそれなりに歴史背景を知った上でご覧あれ
天下分け目の大合戦と言われた“関ヶ原の戦い”。
数ある戦国合戦の中でもすぐ名が出るくらいその名称は知っているが、恥ずかしながらそれがどんなものだったかまでは詳しく知らない。
司馬遼太郎のベストセラー歴史小説を、原田眞人監督が映画化。
2時間半の大作、ある程度歴史背景を知ってないと小難しいとの事で、結構身構えて合戦へ。
まず、エンタメ映画ではない。
関ヶ原の戦いに至るまでの各々の思惑、駆け引き、探り合いを重厚に描いた政治ドラマ風歴史劇。
早口台詞、ポンポンポンポン進む展開、群像劇の作風&演出はまるで『シン・ゴジラ』。今後日本映画界はこういうスタイル流行るのかな??
最大の見所であろう合戦シーンは評判通り。
極力CGに頼らない生身の迫力は近年の時代劇映画でも屈指。
しかし!そこに至るまでが長い、長い!
本来なら歴史上の人物たちの心情を考察し、関ヶ原の戦いは日本にどんな歴史の重点となったかをレビューすべきなのだが…、
各々の行動の目的や関ヶ原の戦いとは何だったのか?…、結局よく分からなかった。
本当にただ、複雑に交錯する人間模様を眺めていただけのようなもの。
原田監督の前作『日本のいちばん長い日』も小難しかったが、こればかりは題材の好みの問題。
いつもなら快テンポの原田作品だが、今作ばかりは長さを感じてしまった。
堂々たる三成岡田。
貫禄たっぷりの家康役所。
二人の熱演はさすがだが、役者陣では島左近役の平岳大が一際印象に残った。
伊賀女忍びの有村架純も悪くなかったが…、あくまで“犬”に徹して三成との関係を仄めかすシーンは要らなかったと思う。
歴史モノは嫌いじゃないし、こういうドキュメント&リアリズムタッチのスタイルも嫌いじゃない。
つまらなくはなかった。けど…
面白かったとはまた別で。
レンタルになったらもう一度見よう。
字幕表示して、歴史背景の下調べをして。