ジュピター20XXのレビュー・感想・評価
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低予算にも程がある。一人じゃもたない
オープニングの、木星の衛星エウロパを目指すまでのストーリーは非常にワクワクさせられるんですが、本編には一切関係ありません。
簡単に言うと、事故でコールドスリープから目覚めた宇宙飛行士が、金星の衛星軌道を脱出するための噴射実験をひたすら繰り返すだけの映画です。
それでも、船外活動で、宇宙船を修理するとか、太陽風の影響で体調が悪化するとか、そのような分かりやすいヤマ場はなく、船内の狭いキャビンに閉じこめられたまま、ひたすら配線をいじって繋ぎなおしては、ブースター点火を試すという偏執的な画面構成に終始します。
仮にただのエレベータの事故で、主人公がメンテナンス担当者であっても全く同じ絵面(えづら)になるに違いないことを、延々と何十週間も続けるという、低予算ならではの、いや、低予算にもほどがあるひどい演出です。
しまいには飛行士がメンタルをやられ、常軌を逸した行動をとるようになり、せっかく地球に帰還できるはずが、命令を無視して、木星を目指します。
一見、あくまでも人類の悲願である、地球外生命の探査に前のめりになる飛行士の行動を描き、観客の共感を呼び、映画の完結としたかったのでしょうが、15年前のレベルです。
原作、脚本、監督のエリック・ヘイデン完全勝利的な評価を得られると踏んだのかもしれませんが、ストーリー的にはただの体のいい「自殺」です。それまでの、生き残るための行動がすべて無に帰す判断でした。
船内のインテリアが古臭いのと、宇宙服のデザインもアポロ時代そのまま。パネルを引っぺがすとむき出しのケーブルが出てきて、宇宙飛行士が隙間に手を伸ばして工具を落としたりする、テレビの配線いじっているようなレベルの点検整備。
そして、一人生き残った宇宙飛行士の、独り芝居も長い時間見ていられるもんじゃありません。取り残された船内の孤独をうまく表現したつもりなのでしょうが、この役者じゃもちません。
「インターステラー」では、人工知能搭載TARSというアシスタントロボットと会話しながら、船内の孤独な時間を表現しました。「ロスト・バケーション」では、女優が岩礁に一人残されて、サメと闘いますが、カモメに「このままじゃ寒くて死んじゃう」なんて話しかけてストーリーを進行していました。「キャスト・アウェイ」では、トム・ハンクスがバレーボール相手に会話をしながら孤独を癒し、ストーリーが進行していきます。
本作では、地上との双方向時間差ビデオメールという、まったく洗練されていない手段で、会話とも言えない会話が繰り返され、思いっきりシンプルなストーリーを単調で、苦痛なものにしてしまっています。
ものすごく乱暴にまとめると、「うわっ!木星に到着してないのにコールドスリープ覚めた。相棒が死んでる。点火装置壊れた。直さなきゃ、」ここから、ひたすら配線をいじって再点火を試みる。そして心が病んでいく。「直ったぞ。さあ、地球に帰れる」「いや、僕は帰らない。木星を目指すんだ。」
それだけの映画です。木星に何があるのかを見たかったのに。
2017.7.7
ゼロ・グラビティと比較すると低予算で宇宙船も安っぽいが、宇宙空間で...
ゼロ・グラビティと比較すると低予算で宇宙船も安っぽいが、宇宙空間でのたまらない寂寥感は同じ。
ピアノの旋律が心に響く。
多少間延びしているけれど、私はこちらが好きでした。
心眼
若い頃は派手な映画が好きだった
ここ最近は極端に登場人物の少ないものを見る傾向にあるみたいです
この作品も少ないです
まったくの孤独ではないもののほぼ一人
そこに何年もいれば人は強くなるか壊れてしまうかでしょうね
彼は『キャスト・アウェイ』のトム・ハンクスみたいだった
私たちが探検をやめることはないだろう。
すべての探検が終わるときは、出発点にたどり着いたときであり、そこを初めて理解したときである。
T.S.エリオット
#T.S.エリオットSF映画
ジュピター20XX
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