劇場公開日 2017年10月27日

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「映像美と世界観を楽しむ映画」ブレードランナー 2049 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映像美と世界観を楽しむ映画

2024年6月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 初めて今作を鑑賞したときは退屈なストーリーで、ただ映像美と世界観を楽しむだけの映画だと思っていた。しかし再鑑賞してみると、ストーリーに対する理解が深まったからか、それなりに面白いと評価が変わる。
 レプリカントに子供がいるという衝撃。そして主人公Kの出生の謎が明らかにされていくと同時に、自分という存在について悩むストーリーは中々面白い。実体の無いKの彼女の葛藤も、ストーリーに深みをもたらしている。

 初鑑賞したときと同様に思うのが、説明不足で分かりづらい部分が多い。ウォレス社に殺されかけたKの居場所を、レプリカント達による反体制派グループはなぜ探知できたのか。研究所の女が、Kの記憶が自分の移植された記憶であることを知るシーンは、解説を調べてやっと理解した。
 アクションシーンは全体的に間延びしている印象。ここはもっと時間を短縮してメリハリをつけた方が良かった。

 しかし今作最大の見どころは、なんといっても映像美と荒廃した近未来の世界観だ。雨が降りしきる夜の街。変な日本語の看板があり、歌舞伎町のようにネオンが輝く。放射能汚染で人が住まないエリアは全体がオレンジ色に染まり、謎の銅像が不思議な世界観を感じさせる。

 リドリー・スコット監督による前作の方が評価が高めだが、個人的には今作の方が総合的に優れていると思う。

根岸 圭一