劇場公開日 2017年10月27日

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「BRのある世界」ブレードランナー 2049 あだじぇっとさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5BRのある世界

2017年11月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

フリークではないけれど、世代としては見届けねばならぬ2049。
imdb は 8.5のハイスコアをヒットしているものの、興行的には振るわないと言う。

興行成績ってのは、対制作費で語られるわけで、オリジナル関連のインタビュー番組でも、うるさく言われたってたっぷり出てきてた。

それもあってか、劇場入口でのっけからのリピ煽り、ちょっと引くw

さて、ビルヌーヴ。
緻密なオマージュ作品でありながら、全く別世界ーーというかビルヌーヴ作品であった。
映像技術の違いもあるんだろうけれど、画面が滑らかで 統一された上品なトーン。
美しい。
エレガントと言ってもいいくらい。
この美しさが 抑えた台詞と相まって 164分といういささか長すぎる時間を難なく乗り越えさせてくれる。

話も、よく練られている。
手堅いといえば手堅い。
Rachel という名前は最初からその意であったのか?と思うくらい。 映像とともに、前作の突飛さというか猥雑さと言ったものは感じられない。
むしろ既視感の連続。
聖書との関連も描かれているし、昨今の日本の小説も思い出させる。
高野和明の ジェノサイド とか
万城目学の とっぴんぱらりの風太郎 とか....

人は 自分ではないだれか他の人のために生きることに人としての存在価値を見出す、という普遍のテーマが中心に座る。

出産というモチーフの使い方も効果的だ。
ひとつの身体から別の命が出でるという体験の確かさは、レプリカントを意のままにし神となろうという意思を一蹴する強さがある。

そういう人間的な何もかもから切り離されて存在するKのはかなさ、寂しさ、終始そういう気配を漂わせるゴズリングは圧巻。
いい俳優さんですね〜〜
老いたフォードは逆に、人間性をそぎ落とすようにして暮らしているけれど、前作よりもはるかに人間的に見える。
相変わらず強いけど(笑)

あと人間として登場するのは、ジャレッド・レトとロビン・ライトだが、レトは盲いた目を補うテクノロジーを多用してアンドロイドを側近に使っているせいか、あまり人っぽくはない。
ライトはゴズリングの上役としてぴったり。
シャープで強靭だが、この世に希望を持っているようには見えない。
我欲も薄そうなところは House of Cards のクレアとは違うかな。

それにしても、2049年かぁ .......
あっという間に来そうだなぁ

あだじぇっと